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【映画】アーティスト

 今年のアカデミーを5部門で受賞の映画、”アーティスト”を見てまいりました。

 サイレント映画時代の名優が、トーキー時代の到来とともに忘れ去られる存在となり、かわりにその名優に小さな小さなアドバイスを受けた新人女優がスターの道をかけのぼり、彼らは立場をかえてまた向き合うことになるという、とてもシンプルなストーリーです。

 

 鑑賞したきっかけは、この映画をアメリカで見た友人から、”この映画は是非映画館で。DVDで見るよりも映画館でみるほうがこの映画にとてもあっているから”ときいたからで、日本公開を待ちわびていました。

 

 が、映画館は、アカデミー賞大好き日本人でいっぱいかとおもいきや、平日の午前中だったからでしょうか。とても人が少なくて、この映画の中のどの映画館でのシーンよりも少なくて(満席の熱狂シーンだけでなく、そうでないシーンと比べても)少々、残念な気がしました。 今、さまざまな元気な映画が相次いで公開されているので、サイレント映画?は、そんな映画に比べてなじまれにくいのかもしれません。

 

 私は、サイレント映画にも、トーキー映画の黎明期にも特に思い入れのない、テレビの淀川さんの日曜洋画劇場に子供のころから育てられた世代なので、この映画の世界は新鮮でした。鑑賞前の先入観では、かなり集中して見ないと、話についていけないのかな?と思っていたのですが、音楽や、ところどころでのアクセントが上手にきいていて、しかもシンプルな流れではあり、特に難しさを感じることはありませんでした。これは作り手側さんから慣れない世代への親切なのかもしれません。

 

 映画全体としては、とてもよくできていて、盛り上がりとか、昂揚感などは、現代の濃い味付けの映画に慣れてしまっていますと、物足りなさを感じもしましたが、冷静に振り返れば振り返るほど、文句のつけようのない良質の映画であり、思い返すほどに映画としての完成度の高さを認識することとなりました。

 

 なにが素晴らしいかといいますと、”さじ加減””バランス感覚”…が素晴らしいです。

 料理にたとえていうならば、上質のだしで、上質の素材を料理し、さらにメインの調味料から隠れ調味料まで、本当ににくいばかりにまさに絶妙のさじ加減。もし、たとえばほんの少し砂糖で甘くしてしまうと、その味をそこねてしまうけれど、本当にひとつまみの分量まで吟味されているので、実に上品で味わい深い仕上がりになっていると。

 

 単に、サイレントだトーキーだというノスタルジックな話題でアカデミー賞をとったわけでなく、まさにこのぎりぎりで上質のさじかげん、バランスで映画の王道を走り、アカデミー賞をとったのだと納得できました。

 

 … この映画を、どんなシチュエーションでご覧になられたらよいのかはちょっと今、ぴんときませんが、この映画の話をわかちあえるかたと、一緒にでも別々にでもご覧になられると、豊かな時間を共有できそうだとおすすめします。

 そうそう… 犬好きのかたには、絶対におすすめです。この映画。アカデミーに主演ペット賞があるとすればこの映画はまさにその最有力候補でしょう。素晴らしいワンちゃんでした。

 

 実は、私は、これは”遅ればせながらの誕生日>自分”として鑑賞にでかけました。先週、誕生日をむかえたのですが、誕生日当日は、ちょっとラフなスケジュールで、自分のための時間を確保できなくて、日をあらためて誕生日を自分で祝う?ことに。

 直前の一年間は、自分の人生の中ではある意味で大きな転機であり、本当にいろいろなことがありました。自分の心のもちかたの舵を大きくきった一年でもありました。そしてこれからは… 何があるのか、何がおこるのか、自分がさらに変わるのか変わらないのか、まったくわからないのですが、とにもかくにも、自分のために、自分が考える一日が欲しくて、こんな時間をとったわけです。

 映画を見終えたあとは、なんだか、ドラえもんの世界のジャイアンが、できすぎくんを見てしまったような違和感を感じました。

 自分の最近の生き方を料理にたとえるならば、そこそこの素材は選ぶようになったものの、料理の仕方はシンプルに炭火焼。調味料は塩と黒こしょうのみ…。というような感じで、この映画のような、良質の出汁、さじ加減の微妙な調味料…ほかには程遠いものなので。

 でも、じわーっと、この映画の味がわかってくるうちに、たとえばこの映画を薦めてくれた友人のこれまで気がつかなかった一面?を感じたりと、いろいろな気づきがじわーっとしみだしてきました。そして、これからの一年。どこに自分が向かうのか、何をするのかまったくわからないなりに、まっすぐに向う気力と元気のようなものが少しずつ、得られてきた気がします。

 … 誕生日というのはよいもので、またおもしろいものだと思いました。いろんなかたからいただいたプレゼントは、できるだけ、この自分の誕生祝い?に持参して活用させていただきました。メッセージをくださったかたがたのことも、思い出させていただきながら映画館への道を歩き、しみじみとご縁をありがたく思いました。

 また、メッセージといえば、そんなに多くはないですが、誕生日にはあちこちから”お誕生日おめでとうございます”メールが届きました。たとえば、マイレージ会員である、JALとかANAとか。それぞれに楽しいオンラインおまけ?があって、楽しみました。生年月日という個人情報を自分はどんなところに発信していたかをチェックするよい機会になりました。

 これからまた、昔のようにまた映画や本を楽しむ生活にしていけたらと思っています。映画館でチラシをみたり予告編をみていますと、見たい映画、読みたい原作あれこれで♪…

 ちなみに、この映画。二回目からは、一回目の鑑賞券を見せると、1000円でまた鑑賞ができるとか。ふっと、もう一度味わってみたいシーンなどもあります。 味わい深い映画でした。

 

 

 

 

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