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【読書】あなたは誰?私はここにいる

 姜尚中さんの「あなたは誰? 私はここにいる」・・・を読みました。

 

 初夏に、ご講演を聴く機会があり、その時のお話にかなり魅了され、特にそのお話の中での文学、美術から、人の生き方につながっていくお話が印象に残り、書店でこの本をみかけたときに、ふっとそのまま手にとりました。

 

 古今東西の絵を題材にして、その絵の解説・・・をしているわけではなく、そこから、自己との向き合いを語っていく本で、目次だけさらっとみますと、さながら”美術鑑賞入門”なのですが、そんなふうにみせかけて、実は・・・ という本・・・ でした。

 といいましても、書名に何一つ美術云々とでてこないので、”みせかけた”わけではないのでしょう。 それでも、美術作品の鑑賞の手引きのようなものと同時に、心の整理の道しるべになる内容は、これまた一粒で二度おいしい(このブログでの前の読書記録にもそう書いています。)本でした。

 

 美術に興味があるかたはもちろんですが、そうでないかたにもおすすめしたい一冊です。感想を書くのは難しいのですが、ご講演の時にも語られたことと同様で、まさに、”今””ここに”生きることがストレートに心に響く本でした。

 美術館に行ったとき、どんなふうに過ごされておいででしょう?

 私は、ふらーっとひとりで、まわりながら、はっと目をひかれた絵をじーっとみて、またふらーっと歩き、時々、椅子にすわってぼーっと部屋全体を眺めたりして、ひととおり見て、最後にまた、”もう一度みたい!”と思った絵をひとつずつみてまわり、おしまいにします。

 有名な絵だからどうの・・・というのはなくて、ただただ、自分の心にぴぴっときたものと向きあう時間です。

 それだけに、混み合っている美術館や展覧会というのは苦手です。

 絵の好みというのは、本当にひとそれぞれだと思いますので、誰かとまわるのも苦手で、あくまで一人・・・。もっとも、たまにおつきあいで誰かと行っても、静かな美術館の中では、感想を述べ合うようなこともないので、その点はいいですね。ただ、立ち止まるところ、動く速さがそれぞれなので、やはり、いつでもひとり・・・ が好きです。

 

 この本で作者のかたも書かれておいでですが、

 ”一人の人間、一つの出来事、一冊の本、そして一枚の絵が、人生に計り知れない影響を与えることがあります。” (中略)”何の予告もなく突然、目の前に姿を現し、そしていきなりわたしを叩きのめすほどの衝撃を与えたのです。”…

 

 まさにそんな出会いが人生に時に訪れるものだと思います。

 自分の中でのそんな出会いを、これを書きながらしみじみと思い浮かべています。

 

 「わたしはここにいる、おまえはどこに立っているのだ」と、ある画家の自画像に問いかけられた気がしたという作者ほどには強烈でないにしても・・・。

 そして、芸術作品だけではなく、自分の人生を大きく変えた人との出会い、忘れられない出来事・・・ そんなことが読後、ずーっと心に去来し続けています。あの一瞬!・・・。

 

 そんな自分の出会いをふりかえられる貴重な本でした。なんだか、自分の中で、納得できそうな秋が始まっています。

 私はここにいます。

 

 

 

 

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