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【読書】悪女入門

 

 男性にとって、破滅を招く女とはどういう女性なのでしょう…。

 ”ファム・ファタル恋愛論”とタイトルに添えられた本を読みました。ファム・ファタルという言葉すら聞いたのははじめてだったのですが、フランス語で、

 ”恋心を感じた男を破滅させるために、運命が送り届けてきたかのような魅力をもつ女性”という意味だそうです。

 

 ”悪女入門”というタイトルは、なんとも少々物騒?に感じますが、この本は、フランス文学なるものを、”男性を破滅させた女性”と”その男性”ということを切り口に紹介しているおもしろい本でした。

 フランス語も、フランス文学にも、とんと縁がないのですが、この本では次のような文学作品を実にわかりやすく、いきいきと紹介されています。

 

 ”マノン・レスコー””カルメン””フレデリックとベルヌレット””従妹ベット””椿姫””サランボー””彼方””ナナ””スワンの恋””ナジャ””マダム・アドワルダ”

 

 …この中で、以前よく読んでいた本が”椿姫”で、その書中本ということで知っているのが”マノンレスコー”。なんとなくストーリーは覚えている…程度に読んだのが”カルメン”という程度でそれ以外の本は全く知りませんでした。思わず今度はそのもとの本を読んでみようと、何冊ものところで思いました。

 

 単にストーリーを紹介しているのではなくて、主人公である”男を破滅させる女”と、”破滅していく男”の心のひだが、非常にテンポよいタッチの中で、語られていき、思わず一冊、手元から離せず、読み終わってしまいました。

 

 この本に出会ったのは、あるかたから、この本の作者、鹿島茂氏の別の著作のことを、ぜひにと紹介されたのがきっかけで、その本を探しているときに、ちょうどこの前こちらに、電車の中でポロポロ泣く女性を歌った、中島みゆきさんの歌”悪女”のことを書いたばかりでもあり、ふたつがぴぴぴとつながって手にしたのですが、久々に、目から鱗というか、とても興味深い本にであったと思いました。

 

 いやぁ… でもすごいです。

 

 この本の作者は大学の文学部の教授で、大学で教え子として出会う”ゴレンジャー・ガール”(子供のころ、男の子の中で一緒にレンジャーごっこをするようなタイプの女の子)が、100%女である女の子”ウッフンガール”あるいは、”スーパー・ウッフンガール”に変身?するための学習を、フランス文学をもとに行うという一粒で二度おいしい?本を目指して書かれている… というようなことを最後に書かれていました。

 ”ゴレンジャーガール””ウッフンガール”という表現といい、ほかにも、文中何度も、くすくすほぉ…となってしまう著者の視点と、視線の先がとても面白かったです。

 

 女性のかたにも… ですが、私はこれは男性のかたに読んでみていただきたいなぁと思いました。… できれば、この本の感想を本音で話してみることができたら… と思ったかたが、浮かぶのですが、いまだに”ゴレンジャーガール”から成長できない私では…。

 

 自分が破滅してしまうとわかりながら、その道から離れられずに破滅していく男性… 

 男性のかたって、そんなふうに女性にのめりこんでしまえるのでしょうか…

 理性的に、抑制心をもって、堅実に生きておられる紳士諸氏が、もしも、もしも人生を変えるとしたら、何がそこまでのトリガーになりうるのか…。もしかしたら、そういう人生から変わってしまえば、不思議なほどにまた違う、悪いとばかりはいえない人生になるのかもしれません。

 それに対して、この本で描かれている、ファム・ファタム… 男を破滅させる女性たちには、幸せに薄い気がしてしかたありませんでした。

 

 ”悪女入門”… というタイトルは、この本にはあっていない気がします。もっと別のタイトルですよね…。 などと、読後感を、ぼそぼそと、どなたかと語り合ってみたい! …と思わずにいられませんでした。

 

 自分自身が女性なので、女性が”恋におちる”とか”誰かを愛する”というのはイメージできるのですが、その一方で、男性も”恋におちる”ということが本当にあるの?というのは、自分の中での永遠の疑問です。だから、この破滅にむかう道というのも、本当に恋によるものなのかなと。

 

 なんだか久々に、秋らしい文学の香りを、ほんのさわりだけですが、感じとり、この秋の深まりに期待したくなっております。

 

 

 

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