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2010年12月

【読書】利休にたずねよ

 茶人、千利休。豊臣秀吉によって自害を命じられた彼の最後の一日を中心に、彼とそのまわりに人の時間と想いを、みごととしか言いようのない構成で語れぬく小説… ”利休にたずねよ”(山本兼一氏著 PHP文芸文庫) を読みました。 

 旅に持参した何冊かの本のうち、結局、読むことができたのはこの一冊だけでしたが(存外に時間がないものです…)この一冊でまずはよかったという充足感を得られました。

 圧倒的な審美眼で、粋を極め、結局それが天下人秀吉の嫉妬をかうことになり、自らの美学をつらぬくことで、生を極めた利休の人生の底流に、深く、鋭く、哀しくある、ある女性との記憶… それがいかなるものなのかという気持ちをいやがおうにも読者に与え、昂じさせ、清流をもって終盤まで押し運ぶようなみごとな作品でした。

 ただ、そのたかまりが大きいだけに、読み終わったあとに少しだけ、”え…” ともっと期待したいところが残ったのは、贅沢すぎる作品ゆえか、それとも侘び寂びの極致にいたらず、貪欲なりし我が心ゆえなのか…。

 よい本です。未読のかたにはおすすめします。ただ、最後の解説は読まれないほうがすっきりされるかも。 なんだか美の極致を読んだあとにはがっかりしてしまうものでありました。

 音楽の世界で”絶対音感”というものがあるとよく言われますが、美の世界でも”絶対美感”というものがあるのではないかと思います。たとえば、黄金比といわれるものなどはそれを数値化したものでありますが。

 美を極めると、それから少しずれる…ものに心の落ち着かなさのようなものを抱いてしまうのでしょう。 秀吉もまた、程度の差こそあれそれを知っていたように思います。だからこそ、自分よりもさらにすぐれたものをもつ利休に嫉妬したのだと。

 この本を読んで少し、秀吉を見直す気にさえなりました。

 ”あなたたち、いい恋をしなさいね。”… 何度かここに書いたと思うのですが、高校時代の恩師が、高校入学直後の授業で言われた言葉がまた蘇ります。

 利休はまさによい恋をしたのだと。

 いかに想うか。

 いかに想われるか。

 人生の中でいかにそれらのこと、そんな時間が貴重なものであるかを、しみじみと思いながら、途中、何度も想いが本から他へゆらぎながら、読み終えました。

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【映画】ミレニアム2、ミレニアム3

 スティーグ・ラーソン氏の”ミレニアム”3部作。 原作がとてもおもしろかったので、映画化されたものはぜひ見たいと思っておりました。

 ミレニアム1は、スウェーデンの知人からもらったDVDとレンタルDVDで鑑賞して、ミレニアム2、3と続けて公開された作品を、当地の映画館ではいつ見ることができるのかと首を長くしていたのですが、なかなか当地で上映されず、ほとんどきりんさんになっていたところ、今回、機内上映で見ることができました。

 行きのフィンエアで、”ミレニアム2”が、映画リストにあることを見つけたときは、わぉ☆♪となり、帰りのSASで”ミレニアム3”があることを見つけたときは、ストライキのおかげで航空会社が変わり、そのおかげで機内上映メニューも違い、こんなにラッキーに、行きと帰りに2と3を見ることができるとは…と、本当にうれしかったです。(ちなみにフィンエアのストライキ、12月10日、ようやく解決とのこと。足かけ11日間。半端でないですね…。)

 小さな画面、ときおり、キャビンクルーや機長のアナウンスなども入る環境なので、必ずしも集中してみることはできませんでしたが、それでも十分におもしろかったです。

 ストーリーを書くのは苦手なので割愛しますが、この作品は本当に一級の社会派エンターテイメントだと感じます。

 主人公の2人、背中いっぱいに龍のタトゥーがあるハッカー、リスペットと、”名探偵カッレくん”といわれるジャーナリスト、ミハエルが、とにかくよい雰囲気(原作からの想像にとても近い)で、3部作をみごとにひっぱっていました。

 ただ、原作を読まずして、かつ”3”から見るとどこまで理解していけるかというのは少し疑問で、あくまでも”3部作”として、正統に楽しむほうが十分に味わえる作品だと思いました。

 舞台になっているのは、もちろんスウェーデン。その素朴な(街中であっても)雰囲気が自然で、無理なく無駄なくも等身大の様子が、すーっと心に沁みました。

 突っ張って生きてくるしかなかったリスペットの悲しみ、強さ、そして、その心に響いた人の絆が、彼女の表情からよくとらえられ、また、茫洋としたミハエルの大きなあたたかさが包み込むような感じで、それでいて無理がなく本当に、”これぞ癒し系男子”…と思わずにいられませんでした。

 スウェーデンで何人もみかけた、長身でスリムなおめめちかちか系きりり知的な美形男子とは違う風貌ながら、本当に独特のやわらかさとあたたかさを感じました。ほかのキャラにしても、キャスティングは満点です。

 原作を読んでいないかたにはちんぷんかんぷんの感想ですみません。未見のかたは、レンタル屋さんで、ぜひ、まず”1”をご覧ください。

 

 この映画を見ていて、懐かしい気持ちになるのは、携帯電話の着信音を聴いたときです。スウェーデンの人というのは、本当に何種類か(特に特徴的なのは1種類)の着信音がほとんどで、日本みたいにいろいろな着信音がなるということがない気がします。

 スウェーデンで、会食の時に、その点をきいてみましたら、みなさん、口をそろえて、”スウェーデンの人はめんどくさがりだから、そんなわざわざ設定を変えて…なんて考えないですよ”。と苦笑い。

 同じ音があちこちで鳴るほうがなんだか私は、自然体でいいなぁと思いました。日本に帰って、そこここから違う音でなるのをきいて、ふみゅ…と思わずにいられませんでした。

 この映画をみるたびに、スウェーデンの人の携帯を思い出して、懐かしさでいっぱいになりそうです。

 

 

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フィンランド航空のストライキ

 ノーベル賞メダルチョコ…も旬の話題ですが、もうひとつ今回経験したことで旬のことを。

 今回はフィンランド航空で、ヘルシンキ経由ででかけたのですが、11月30日から、ストライキになっていて、現在でもまだ解決されていません。(追記:12月10日、解決したとのことで、よかったです。ということで以下は単なる体験記になります)

 …で、結論から書きますと、もし今、ストライキで困っておいでのかた、私のわずか今回だけの経験からですが、東京のフィンエアに問い合わせてみられるのが一番だと思います…ということです。時間外などどれだけつながるか、なんともいえませんが、それでも確率的によいのではと。(*もちろん、旅行社などで購入されたかたはそちらへもと思います。私は、直接フィンエアのWEBで購入しましたので…)

  私は、WEBの記載で、土曜日日曜日は東京のフィンエアにアクセスできないかと思ったのですが、何度目かで電話がつながり、私はそれで、ほかの便を手配してもらえました。

 

 行きのフライトはストライキ前でしたし、帰りも、”きっと滞在中に解決するはず♪”と思ってでかけたのですが(昨年は3日くらいで解決していましたし)、とうとう、帰国便はキャンセルになり、そういう経験がなかっただけにうろたえました。

 現地で一緒に仕事をしたかたは、日本航空でチケットを買っていて(コードシェア)、そのかたは、”日本語が通じます”というJALの電話(フランクフルトかどこか…)に問い合わせをされたら、すぐにほかの便をJALが手配していました。

  いいな。いいな。…と横でみていて思いました。

 …私も、チケットを買う時に、このリスクも考えて、JALで…と思ったのですが、ダイレクトでフィンエアで買うのに比べて、価格差がとてもあったので(時期、便にもよりますが)、今回は” 脱JAL依存症”を決意して、オリジナルフィン?でかいましたが、よりによって、やはりこんなときにリスクがかかってしまいました。

 それで、私もなんとかせねばなりません。フィンエアの東京支店は時間外や土日でしまっているときで、私がかけたときにはすぐにラインが切れてしまいました。それで、WEBに書かれているフィンエア全体のコールセンターにかけたのですが、なにせ世界中?からそんな問い合わせがあるのでしょう。電話はさっぱりつながりません。1時間以上保留で待ったのちに切れてしまったりしました。

 ストックホルムには支店はなさそうですし(ネットとホテルのフロントで調べました。)空港までいってそこのカウンターの人に聞くしかないかも…と思いながら仕事していた間に、ストックホルムの知人が、東京のフィンエアに電話してくれて、ほかの便を手配してもらってくれました。(予約番号などをこの人にも知らせていたので)

 … ふーっ。これで一件落着 …

 のはずだったのですが、かわりに手配してもらった別の航空会社のフライトに搭乗するために(ロンドン経由でした)空港まででかけてみると、なんと、そこで、その変えてもらった別の航空会社のフライトもキャンセルになっていることを搭乗ゲートを確認しようとしてみたボードで発見。

 茫然としました。

 … 空港にはそのキャンセルにともなう列がずらーっ。

 対応にあたる係員が少なく(1人、その後2人)にっちもさっちもいかない感じです。

 このまま列にならんでいてもどうにもならない…と思い、日曜日ではありましたが、また東京のフィンエアに電話してみました。

 …すると、本来ならば一度手配したあとは、その別の航空会社の責任になるけれど、今回はもとがフィンエアのストライキだから… と、また手配してくれて、(携帯電話代…時間がかかって大変でしたが…)結局、スカンジナビア航空(SAS)で帰国することができました。

 キャンセルにつぐキャンセル…でしたが、乗換地のコペンハーゲンで立ち話した初対面のツアコンさんの話ですと、スペインは管制官がスト、ドイツ、イギリスなどでは寒波でキャンセルいっぱい… ということで、ヨーロッパの空は大混乱していたようです。

 とにもかくにも、予定通りの日に帰れてとてもラッキーだったと思わなければと思いました。

 自社のストライキのため…とはいえ、丁寧に対応してくれたフィンエア東京のかたと、一生懸命、国際電話してくれたスウェーデンの知人に本当に感謝しています。

 

 小さくて見えないと思いますが、乗るはずの便が、二つもキャンセルとして同じボードに載っている写真を撮ってきました。ふーっ。

 

 

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 ちなみに、フィンエアのストライキ。さきほどWEBで見ましたら、まだ続いているようです。もう8日目。 すごいと思います…。早く解決することを願わずにいられません。

 ホテルの部屋で、連日夜ずっとネットで状況把握して、対応策を考えていた時間を思い、もしも今同様にされているかたがおられて、そんなときに少しでもそのお役にたてば…と、あわててこのお話アップしました。

 

 

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ノーベル賞チョコ…溶けない寒波…

 … うう、寒かったです。 極寒のスウェーデンに行って、昨晩戻ってまいりました。

 なにせ到着するなりマイナス15度…。 なんでもその日はマイナス20度までさがったそうで、11月の気温としては、ここ100年にない記録だとか。スウェーデンの人のあいだでもさすがに、まだ早すぎるこの寒さ…と、気温のことばかり話題になっていました。

 九州生まれの九州育ちで、スキーをしたりすることもない人間にとって、その気温はまさに初めての経験…。もう、びっくりすること、感動することばかりでしたが、そのことはまたあらためて書きたいと思います。今日はまず旬の話題から。

 日本人のノーベル賞受賞者のかたがたが、ノーベル賞のメダルと同じデザインのチョコを手にされているシーンをテレビで見かけておもわずにっこりしました。

 …ノーベル博物館というところのショップでしか売られていないチョコだけに、これは珍しいかもと… 毎回スウェーデンに行くときに買ってかえるのですが、夏は日本に持ち帰るとすぐ溶けるので、そうそう持ち帰れず、また、日本人受賞者がない年にはちっとも話題にならず、(渡しても昨年ニュースになっていたことを忘れられている…)はたまた、覚えていてくださるかたには、”え… おみやげ、また、これ?”と言われたこともあり、躊躇してしまいましたが、やっぱり今年は日本人受賞者もおいでだし♪… と、初めておみやげにさしあげられるかた限定♪…と思って、いくらか買ってまいりました。

 ミュージアムショップの店頭には、10個入りが3~7袋くらい、かごに入れられていますが、大丈夫。それで売り切れではありません。かごが空になりそうになると、すぐ奥から補充されます。

 ショップの中にはほかにも、ノーベル賞関係の書籍ほか、いろいろあるので、じっくりながめているとあきません。

 今年は、ノーベル賞受賞者の人が椅子にサインをすることで有名な、ミュージアム内の喫茶店で、ケーキとコーヒーも楽しんできました。外があまりに寒かったのと、私にしては初めてのちょっとおおきな課題が終わったので、仕事関係で現地で合流したかたが、”おつかれさま”と、ごちそうしてくださって♪

 ということで、つい数日前に訪れた、ノーベル博物館と、その前の広場で行われているクリスマスバザールの写真をぺったんします。

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ストックホルムを出発したのは5日でした。受賞者のかたがたはこちらにお泊りかな…と思いました。(グランドホテル)

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 ちなみに私はこんなところにはめっそうもなく… ほかのホテルでしたが、とても印象に残るホテルでしたのでまたあらためて書きたいと思います。

 フィンランド航空のストライキ、寒波ほかで、本当に波乱いっぱいでしたが、どれもよい経験。今回でちょっと一区切りなので、これからさき、またスウェーデンをいつ訪れられるかはわからず、それだけにちょっと感傷的になりながらの日々でした。でも、プライベートでもぜひ♪と思わずにいられないほど、行くたびにスウェーデンが好きになります。

 日本に戻ると17度。…いきなり30度以上の気温差で、思わず、暑い…と思ってしまいました。

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