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【読書】悪人

 先日見た映画「悪人」の原作、「悪人」(吉田修一氏著 朝日文庫)を読みました。

 映画のラストのほうの解釈が、とても気になって。

 いろいろな映画評を読んでみたのですが、自分と違う解釈もあって。

 もちろんどんなふうにとらえるかは人それぞれなので、違う解釈であってもOKとは思うのですが、原作がある以上、原作を確かめてみたくなりました。 映画はなんといっても一瞬で流れ去っていくものなので、何か自分が見落としたことで誤解していないかと思ったのです。

 上下巻あって、下巻のラストのほうから読んだというのは、初めての経験です。

 が、映画での解釈と原作での解釈で、かなり整合性が高かったので、ほっとした気持ちさえもちました。それで、あらためて最初から読み始めたのですが、本のほうもとてもよかったです。ぐんぐんひきこまれました。

 映画を先に見てしまっているので、どうしても登場人物の顔に、妻夫木さんや深津さんの顔を重ねてしまったりしましたが、なんというのか、ナレーションの雰囲気というか、底を流れるものの感覚に違いがないので、登場人物も違和感なく受け入れられました。

 …それだけ、映画のキャスティング、そして脚本がすごいということなのでしょう。

 

 

 とにかく、ネタばれ… ストーリーという意味でなく、一番よい”きめ”の文章のようなところをこちらに引用してしまうと、それもまたこれから本を読むかたには悪い気がして書くのがためらわれるのですが、

 …今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎるったい…。

 という言葉とそれに続く文章が、映画以上に本で響きました。

 大切な人がいないから、失うものがなく、だから自分が強くなった気になり… という一連のくだり。

 映画を観終わったときに、一緒に見たかたが、まさにこのことを語られていたのですが、そのときにはあまりピンとこなかったことが、本を読んでじっくり考えているうちに、じわーっと心に広がっていきました。

 

 それから、もうひとつ。

 自分を待っていてくれる人がいる。

 そこに行けば絶対にあの人は自分を絶対に待っていてくれる。

 そう思える瞬間を得た人が見出した自分の人生の意味。

 自分が誰かから確実に必要とされていると感じられること。

 その確かさが作る強さが、映画の中では映像でみごとに表現されていましたし、また、本でも言葉でパシッと書かれていました。

 

 誰が悪人なのか…

 というような命題が歩いてしまっていますが、大切に思うことがいること、自分を必要としている人がいること…など、人にとって何が大切なのかを直球で見つめなおすきっかけをもらえる作品でした。

 

 ああ、それにしても、この作品は、ネタばれとか気にせずに思いっきり書きたい、語りたい作品です。

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