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2010年8月

【読書】プラハの春

 久々にラブストーリーを堪能しました。・・・本当は、”ラブストーリー”とだけ書いてはいけない本なのでしょうけれど。 ”プラハの春”・・・春江一也氏著(集英社文庫) です。

 知人に薦められて、”そういえば、最近新書や指南書のようなものしか読んでいなかった”…と、小説への渇望感から、自分の中でのささやかな“夏休み”を求めて、この本を手にしてみました。

 お話は、チェコスロバキア大使館勤務の若い日本人外交官堀江が、ひょんなことから、東ドイツ出身の美しい女性とその娘を助け、その女性カテリーナに惹かれていきます。自分自身は反体制分子とみられていながら、東ドイツの高官を夫にもつカテリーナは複雑な立場で、またチェコは、“プラハの春”といわれる歴史のページをむかえ、それぞれの人がそれぞれの立場で、懸命にその時代を生きていきます。

 この本は、その歴史を語る意義と、ラブストーリーを通して人を語る部分が、みごとに縦糸と横糸のように織り込まれて、その流れの中にいつのまにか自分自身も織り込まれて、いっきに読了に向かいます。

 作者については、まったく予備知識なく読み始め、上巻から下巻にうつるときにはたと気がつきました。この作者、春江氏自身が外交官で、チェコ駐在体験を持たれているかただと。きっと多分まさに・・・その時に・・・なのでしょう。だからこそ、外交問題の詳細が描かれていて、また、その場にいたからこそ、当時そこにいる人々がどうであったのかの“人間”もまた書きこまれているのでしょう。さらには、こんなことを書くと失礼かもしれませんが、モノを書くこと・・・いわゆる作家であること・・・を本業とされていないがために、かえって素直な読みやすい文章で、等身大の登場人物を描かれたのでしょう。最後のほうで、唐突にカテリーナにふってくる災いについては、他の外交的な部分などがとても緻密に書かれていただけに唐突さはいなめず、ツメとしてかなり残念でしたが、それも、真の意味ので“小説家”ではないということで、納得できました。また、なりきった“小説家”でないがゆえに、心に届くものが大きいのかもしれません。

 政治的・歴史的な部分については、この本を読むまでほとんど知識がなかったので、この本でも、その壮大で、さまざまな時代、地域で大なり小なり同様に繰り返されていくストーリーに哀しみ、やるせなさを覚えてしまった・・・としか書けないのですが、それ以外の人間ドラマの部分だけでも、十分に惹きこまれました。あえてこの感想では、人間ドラマに絞って書くといたしますと、ひたすらに善き人堀江さんと、まさにマドンナのカテリーナ。できすぎのようなカップルですが、人の心の善をそのまま疑うことなく、この二人のラブストーリーに浸っていける感覚は、この暑い暑い暑すぎる夏においてさえも、清涼剤になりました。

 女性の美しさとは何なのか…。何度も何度もさまざまな登場人物の言葉で、美しさが語られるカテリーナですが、単に造形的な美ではない、強さからの美の意味がよく描かれていたと思います。そしてまた、その強さが何からおこるものなのか、何が得られるとさらに美しく、強くなるのか。美しい強さを得ること、そしてそれをキープするためには何が必要なのか。・・・そういうことが、とても明確に描かれていたと思います。

 理想的・・・ 過ぎるのかもしれないラブストーリーの世界ですが、現実のドロドロし過ぎの世界の中で純粋な理想がつぶされていく哀しみの中で、せめて人と人との中に、信じあえるものを・・・と描かれたかったのかもと、作者の心情をお察しできるような気になり、また自分自身もその善と愛の世界にしばしどっぷる夢見心地でひたりました。

 このストーリーには続編が想定されている・・・ に違いないことは、この本の最後のほうを読んでいくと、よくわかります。あきらかにはられているとしか思えないいろいろな伏線から、このお話続く“ベルリンの秋”なるお話を勝手に想像してしまっております。(歴史部分というよりも登場人物のその後的なところで)

 あまりに歴史的にも濃厚な世界を読み終えたばかりですので、少し秋が深まってから、深呼吸をしてまた手にしてみたくもあります。この作者の外交官としての目で描かれる歴史の舞台をもっともっと知ってみたくなっています。

 ”・・・支えてやってくださいね。恋しい人に愛される女は強いのよ。”(この本の中の一節です) 

 自ら輝く強い女性の強さを支え切れる男性の愛が、いつも大輪の花のそばで白く輝いていました。女性の強さを認め、愛し、さらに洗練された強さに導き、支えてくれる。そんな男性に巡り合えた女性は本当に幸せものなのでしょう。

 その他、いくつかの、ちりばめられた言葉にはっとする一冊でした。 この作家のかたも、もしや、いえ、きっと…と思わずにいられませんでした。

 

 

 

  

 

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【映画】運命をわけたザイル2

 最近、山での遭難のニュースに遭遇することが増えてきた気がします。また救助に向かった人がまた遭難するケースもあります。

 何人かで山に登るとき、その中の一人がけがをしたとしたら…。状況がすべて変わってきてしまいます。助けを必要とする人。助けなければならない人。助けようとする人。

 一人一人が抱く気持ちは、非常に複雑でしょう。言葉に出せる想い、出せないこと。出せない想いに対して抱く想い。

 ヨーロッパアルプス、アイガー北壁を舞台にしたこの映画は、その言葉にならない想いをいっぱいに感じずにはいられませんでした。

 当時未踏だったアイガー北壁に挑んだ4人組。 ショートカットのルートで順調に登り始めた4人でしたが、やがて落石(落氷?)により一人が負傷したことから、状況が変わります。 状況をここで書くのは、これからご覧になられるかたのために割愛しますが、最後には、救援隊も向います。それでも、その救援隊ですら、地形や夜の到来などで、思うように助けられないのです。

 また、このアイガー北壁は登山列車がすぐそばを通り、近くにこのいったいの観光の拠点があることから、そこにいる人たちからも、その成否を見つめられ続けるという状況でもあります。

 そんな状況の中でのすべての人の気持ちが、語られ過ぎていないからこそ伝わってくる作品でした。映画としての成否はよくわかりませんが、少なくともこのドラマに引き寄せられ、いっきに見ました。

 山岳映画で忘れられないものとしては、Imaxの“エベレスト”がありますが、これも忘れられない作品になりそうです。

 

 アイガー北壁は、ずーっと昔、それこそ観光列車でむかったある駅から、見たはず…なのです。が、3月だったため、その見えるはずの窓から見えたのは、ただただ一面の白。何がないやらちっともわかりませんでした。親に連れられていって、自分ではどこをどうまわったのかもよく覚えていないもので、それがいったいどこの駅でのできごとだったかかも、わからないのですが。 ただただ、記憶の中に“真っ白”だけが強烈に残っていて、その記憶をおもうたびに、旅は、主体性をもってこそ、多くが何倍にも理解でき、記憶に残るのだと思わずにいられず、その想いゆえに、たとえ限られたところにしか行けなくても、今、一人でうろうろできるところを、うろうろしようとするのだと思います。 

 一人で。チームで。そして多くの人の手を借りて。

 日常のいろいろなシーンともリンクせずにはいられませんでした。

  

 

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【映画】ナイトミュージアム

 博物館大好き人間として、以前から見てみたかった映画をやっとDVDでレンタルしました。

 ☆…ナイトミュージアム…☆

 ストーリーはとてもシンプルで、博物館に収蔵されているある謎めいた石板の魔法によって、夜になると、その博物館のものが命をふきこまれ、銅像もジオラマの中のミニチュア人形も、恐竜の化石もみーんな動き出し、あーら大変♪ というものです。 何も知らずに、博物館の夜の警備員になった主人公はびっくり仰天。 朝にさえなれば、みんなもとにもどっていき、もしも朝博物館の外にあったら、灰になって消えてしまう運命にあるのですが、なにせいずれもが大事な展示品。なにかあったら一大事です。

 いろいろいろいろ。動く♪ 動く♪

 それぞれに理由があり、想いがあり、とてもユーモアにあふれたお話でした。 お客さんがだーれもいない博物館の中というのは、かなり不気味かもしれません。とりわけミイラとか化石などがいっぱいあったら、こんな季節でも背筋に冷たいものが走り、納涼気分いっぱいになりそうで。私がときどき、ぼーっとしにでかける地元の博物館では、一度閉館した後に再オープンして、まさに“ナイトミュージアム”でコンサートが開かれたりもします。午前中や午後の早い時間は、修学旅行生や、総合学習で訪れる生徒・児童の歓声で、大人の雰囲気にひたるには難しいのですが、そんな時間帯を避けると、ぼーっと夢想にふけりながら、自分の中で、勝手に展示品が動かしたりしております。子どものころに戻る気分で本当にわくわくします。

 ああ、まさにそんな気持ちを表した映画でした。

 調子にのって、“ナイトミュージアム2”も見てみたのですが、こちらは、”1”ほどにはなくて、やはり“2代目”症候群があるようでした。でも、最後のシーンのオチ?はなんともいえず、ほっこりして好きでしたので、よろしければあわせてお楽しみください。

 あちこち出かけた先で、時間があれば、その土地の博物館にでかけます。

 特にその土地ならではの歴史系の博物館は、ほぉぉ…と思うところが多いです。昨年訪れた北極圏にある博物館では、地球温暖化などに関して、その当時の“世”とは違う温度を感じてとてもおもしろかったですし、6月に訪れたストックホルムの音楽博物館は、古今東西のいろいろな楽器を、実際に音を出していくことで、流れなどがわかりました。ABBAのコーナーが案外に小さかったのでちょっとがっかりでしたが。…そういえば、ハードロックカフェなど、店ごとミュージアムかも♪

 そのほかに珍しい博物館があるとでかけるのですが、小さな博物館でも見所がいろいろあったり。東京では、数年前にでかけた警察博物館などが興味深かったです。そこで買ったピーポー君♪のぬいぐるみなど、今も部屋に飾っています。東京証券取引所の中の展示ルームなども、小さな博物館といえるでしょう。上野の博物館などは一日いても飽きませんが、きりがなくへとへとになってしまいますので、ほどよいサイズの充実感?もまたよいとおすすめいたします。

 いつも行くたびに閉館時間とかちあってしまい、まだ見たことがない貨幣博物館(日銀)など、東京には行ってみたい博物館いろいろなので、またそのうち東京博物館めぐり♪にでかけたいです。そんなこと、あんなこと考えながらのナイトミュージアムでした。映画の感想というよりも、博物館話になってしまいましたが、博物館好きでなくても、楽しい映画で、映画をご覧になられたらぜひ博物館へGo☆です。

 

 

 

 今週は、お盆前ということで、世は休眠?状態なのか、久々にたまっていた用事を片づけられて、嬉しい時間です。 整理しないといけないものはいっぱいですので、いくら時間があってもきりがないのですが。

 そうそう、腕時計。やっと買いました。 

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