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2009年12月

【映画】ホルテンさんのはじめての冒険

 … 最近、このブログに書くネタがなくなってきてしまっているのですが、ひさびさに、ほっこりして、見てよかったなぁ… と思えた映画に出会えました。よくお邪魔させていただいているサイトのかたがこの映画のことをお書きになられていて、それにとても惹かれてぴゅんとレンタルしてしまいました。おすすめくださったかたに心から感謝しています。

 “ホルテンさんの初めての冒険”…というノルウェー映画です。定年の日をむかえた電車の運転手ホルテンさん。それまでは超規則正しい、まるで列車の運行時刻表のような人生を歩んでいたのに、最後の仕事の日を直前にして、思いがけないことがおこり、それから、いろんなことがおこります。そして、いろんな人にも出会い、その中のひとりの人の冒険?につきあったりもして、そんな中でホルテンさんは、心の中できっといっぱい目を点にしながら、人生という名の電車の走らせかたを考えなおしていくのです。…

 …けっして派手な流れのお話ではないのですが、飽きることなくあっというまに最後までいきつきます。そして、なんだか最後には、この映画の先に自分の夢をも重ねてしまいました。

 一度だけノルウェーに行ったのですが、同じ北欧といってもスウェーデンともフィンランドとも違う…と感じ、うまく言葉にできないのですが、たった数日の滞在だったのに、これまで行った中で一番印象深い国(インドよりも印象深い…って、すごい気がします)になりました。どんな人たちが、どんなふうにここで人生を送るのだろう… と、滞在中にずっと思っていたました。私が感じたノルウェーは、まさにホルテンさんが生きている国でした。

 この映画の中で、きっと多くの人に届く言葉は同じ… と思います。あえてここに書きませんので、この映画の中で、ぜひ出会われますように…と願っています。

 映画の中に、私が気がついた範囲でふたつ、“ニッポン”がでてきます。どちらもぴりっときいていました。

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【映画】ブーリン家の姉妹

 …さすがに年の瀬… 例年にも増して、時間貧乏となっていて、本も映画もご無沙汰状態なのですが、ここ数日、風邪をひいてしまいました。それでもキャンセルできない用事ばかり…。家での時間はひたすら身を横たえることにしまして、久々にレンタルDVDを見ました。といっても、薬のせいか微熱のせいか、DVDを観はじめてもほんの数分で爆睡…の繰り返しだったのですが。

 見たのは、また見てみたくなってしまった「砂の器」と、「The HOUSE」というお医者さんのシリーズもの(でも、間違ってシーズン2からレンタルしてきてしまったので、なんだか背景がよくわかりません…) それに、以前から見てみたいと思っていた「ブーリン家の姉妹」でした。

 16世紀イギリス。ヘンリー8世の御時に、娘を使って時の権力者の姻戚となり、権力を集中にしようというブーリン一家に生まれてしまったために、姉妹で王の愛を奪いあう(?)こととなり、イギリスの歴史の流れさえも大きく変えてしまった二人の女性の物語です。ずいぶん昔にヘンリー8世をめぐる小説や映画で、このころの流れを知った記憶はあるのですが、この映画の中では、その歴史的な意味などの部分は弱く、どちらかというとひたすらに、駆け引き(それも本当の意味で決して上手とは思えない…)物語に注力している気がしました。

 きっと、いずれの御時にか女御あまたさぶらひける時代の某F氏の陰謀の物語が、海を渡って翻訳までされてこの”B”一族のテキストになった… のかもしれません。 権謀術策モノが苦手なタイプなので、途中までは(なんてひどい…)と、ある女性にぷんぷんしながら見てしまったのですが、最後まで見ると、納得の結末で上手にまとめあげている映画だと感じました。

 この映画の中で一番きれいだと思った女性が、ヘンリー8世の最初の王妃キャサリン(アナ・トレントさん)で、王妃としてのこの人のセリフも凛として印象に残りました。“姉妹”ふたりの対比の中で、ふっと眼がいったのかもしれませんが。また、ヘンリー8世を演じたのは、映画「ミュンヘン」で主役を演じたエリック・バナさんであることを最後の字幕で気がつきました。歴史に残るプレイボーイ?のイメージがあったヘンリー8世らしからぬ?誠実な印象が残りました。

 策に溺れてしまった女性の、”想定の範囲外”のことが起こり始めたあたりからの弱さの露呈ぶりと、小賢しい策は弄することなく、自分にふりかかってきた状況の中で自分の行動のありかたを考え、実行していく女性の芯の強さの対比を、ある男性がどうジャッジしていたかが興味深いところでした。

 映画を見終えて、一番、この人物のことがもっと知りたい…と思ったのは、この男性、ヘンリー8世のその後であり、時間貧乏が解消されたら、このあたりのことはぜひ読んでみたいと思います。

 自分がどんな家に生まれてくるか、どんな人生を歩かないといけないのか… それはどんな人にでも多かれ少なかれ、定められたものが何かしかある気がします。その中でどう生きていくのがよいのか。真に強い生き方とは何か… この映画の中で考えさせられる気がしました。 兄弟姉妹といった血縁もまた、その定められたもののひとつの要素なのでしょう。

 微熱を忘れていっきに見てしまった映画でした。おすすめくださったかたに感謝です。

 

 

 …ところで、これまではレンタル屋さんで、株主優待で半額で全部見ることができていたのに、来年からはその優待がなくなってしまうことになりました。その半額目当てにその会社の株を買ったのにとほとほです。その優待は実質的になくなり、一方で株の価格は買った時のほぼ半額。どうしましょ。せめて半額優待があれば…と、ブーリン家の姉妹…ならぬ、ブーイング家の終い…になりそう…です。ふにゃ…。

 

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【映画】ダウト

 あるカトリックの学校にて。司祭がある特定の男子生徒にいろいろとかかわっていることから、修道女がその司祭に疑念を抱き、彼を追い詰めていくお話。

 メリル・ストリープさんが修道女役を好演されているときいていて、以前からぜひ見たかった映画をレンタルDVDで見ました。…メリル・ストリープさんが好演しているという以外、ストーリーもなにも情報を持っていなかったので、観終わって、正直なところびっくりしました。

 単細胞人間ですので、いつも右か左、白か黒、YESかNO…がはっきりしているような世界でばかり、極力息をしようとしています。それだけに、“灰色”の世界は、かなり息苦しいものがありました。

 また、”疑念”を疑念以上の確信で、司祭をおいつめていく、メリル・ストリープさん扮する修道女の言動には、恐怖とも不快感ともいうような反発心を持ってしまい、なんて心に悪い映画だろう・・・と思いながら見てしまいました。考えの深きに及ばない若い修道女もまた然り。そして、そんな修道女の追及に対しての司祭の煮えたぎるような怒りをおさえた言動など、とにかくそのギリギリ感がすごいと思いました。

 ストーリーに埋没している間は、なんて苦い味の映画なのか…と思ったのですが、見終えて、反芻してみますと、それだけの苦さを演じた女優さん、俳優さんそれぞれの演技が”すごい”…としか言いようがありません。オリジナルは舞台作品なのだそうですが、まさに、力があるキャスティングあってこその作品だと思いました。

 偏執的で、満たされていないと感じる修道女を演じたメリル・ストリープさんの前回出演作は、ABBAの曲にのった”マンマ・ミーア”であったはずで、その両者の対比には驚かずにいられませんでした。

 

 ちなみに、この映画の冒頭からでてくるマリアさまの像…。まったく同じ(多分型が同じ…)ものが母校にもありまして、思わずまずそこから反応してしまいました。両手を軽くひろげ、すべてを受け入れる慈愛に満ちたマリアさま。対局としてとても象徴的でした。

 

 疑いは人を美しくは変えないものなのでしょう…。

 

 

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