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【映画】愛を読むひと

 …夏前に公開になったのですが、とうとう映画館に行くことができないまま公開終了で、とても残念に思っていた映画「愛を読むひと」をあるかたのご厚意で、うちで、鑑賞することができました。原作の「朗読者」を読んで、ぜひこれは見たいと思っていた作品でした。

 でも、鑑賞後最初に思ったことは、「ああ、映画館で観なくてよかった…」。

 久々に、号泣してしまいました。ひとりで観ていて、自分で恥ずかしくなるほどに。原作も心にせまり、いっきに読んでしまいましたが、その原作の良さが損なわれることなく描かれていて、また映像ならではの展開の妙もあり、時系列、場面の切り替えなどがとてもみごとでした。

 ものがたりは、少年と、少年が出会った20歳以上年上の女性とのものです。あることから出会ったふたりは、やがて少年にとってめくるめく時を共有する状況になり、さらにその女性の願いで、少年は、愛をかわす前に毎回、彼女に本を読んであげる…という習慣ができていきます。ただ、そういう時も永遠ではなく、女性は突然少年の前からさり、次にあったときには、彼女の辛い過去をあばく裁きがありました。ナチスドイツ関係で厳しい罪に問われた彼女にとっては、彼女自身のある秘密を守ることのほうが、厳罰に処されるよりもよかったのです。そして、その彼女の秘密とは…

 (これから本を読まれるかたのためにも、映画をご覧になられるかたのためにもネタバレにはしたくないので、ストーリーにからむところはこれくらいで。)

 主人公の女性を演じているケイト・ウィンスレットさんの演技が素晴らしく、若いころから、老いたときまで(このときのメークが素晴らしかったです)その表情にも圧倒されました。手は、もしかして、”手タレ?”さんという別のかたかもと思ったのですが、本当にこんなふうに表情が生きている映画を久々に観た気がします。

 この映画は、反応したくなるところがとても多くて、たとえば法廷シーンにしても、書き出すときりがなくなりそうです。あえて、一番心に去来したポイントだけを書きますと、主人公の女性が感じ得た幸せ、そして味わった失望…が、とてもよくわかったということです。

 長く、ステディに、遠くからでも、気をかけてもらい続けること… そこから得られる安心感と、そういう行為から感じる愛情というのは、ある強さを自分自身が持っている女性にとっては、とても大きな安らぎであり、ありがたさでもあると思います。(絶対的にいつも庇護されていた女性はまた別です。)

 それはたとえていえば、お釈迦様の手の上を飛び回っていただけの孫悟空的存在であることができる安心感とでもいうのでしょうか。

 先日、加賀乙彦氏著の「スケーターワルツ」を読んだときも、この本の主人公である女性スケート選手と、彼女を見守る男性とのあいだに、おなじような感じを抱きました。

 また、少し前に、大原麗子さんがおなくなりになられましたが、このかたが出演されたCMでの忘れられない言葉、“少し愛して、ながーく愛して”…(本当は、”いっぱい愛して、でも表面にでるところは少しでいいの。そして、ずっと愛して。見守っていて… ではないかと勝手に解釈。CMは15秒の時間制限ありですから…)。これともつながる気がしました。

 …ずーっと、ずーっと。どれだけ女性のほうの気持ちにアップダウンがあろうとも、変わらず見守り支えてくれる男性の愛…

 映画の後半で、主人公の女性が感じていたのは、まさにこんな愛だったと思うのですが、それが、あの決定的な場面で、彼女の思いすごしであった…と悟ったときに、彼女の中で、積み上げられていた本が音をたてて崩れ落ちたのだ・・・という気がしました。

 もちろん、また男性のほうの気持ち(不安、ゆらぎ…えとせとら)も痛いほどに伝わってきました。なぜ彼が、あのようなかたちで「読み続けてきたのか」もわかりますし、そしてなぜ彼があのようなアクションをとったのかもまた、わかる気がいたします。

 映画では、それが実によく表情や、また光の加減などで表現されていたと思います。それだけに、本当に特に後半は、こみあげるものをおさえきれませんでした。

 一番心に残ったのは、サイクリング旅行にでかけたときの教会でのワンショットです。後までさまざまなからみとともに残る場面で、みごととしか言いようがありません。教会にさしこむそのやわらかな光もずっと鑑賞後も心に痛みとともに残ります。

 ん… とおなかに力を入れて、泣く覚悟をして、ティッシュペーパーをいっぱい用意して、またあらためて、午後の光が差し込むころに鑑賞してみたいと思っています。

 時間をおいても、ネタばれせずでの感想は書きつくせないと思いましたので、第一回鑑賞の感想だけを…と。知への渇望をこれほどまでに切なく感じたお話はなく。本当はそのあたりで、書きたいことがいっぱいなのですが、ネタばれなしにどう書いてよいのかわからなかったので。 

  本も映画もおすすめせずにはいられない作品でした。

 

 先日、ある女性と恋愛談議になりました。ものすごいイケメンの男性とドラマの一シーンのような激しい恋に落ちるのがいいか、それとも、ちっともロマンチックには程遠い外見、シーンの連続であっても、安定持続可能型であるほうがよいか…と。いわば、 「短くも美しく燃え」か、「すこーし愛して ながーく愛して」か。

 どちらがよいか…。意見がわかれましたが、ひさびさに夢を語り合ってしまいました。そして、終わって声をそろえて言いました。「夢ならば語れる」…。

 

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