« 【映画】人生に乾杯! | トップページ | 【映画】南極料理人 »

【読書】ノーザンライツ&旅をする木

 日本では、”オーロラ”と呼ばれる、光のカーテンのことを、その地に住む人々は、“ノーザンライツ”と呼びます。 冬には、日本からも、アラスカなどの地に、その神からの贈り物のような光を見るために多くの人が訪れるそうです。確率的に見ることができる可能性が高い時期と場所に行くわけですが、数泊の旅の中でそれを見ることができるかできないかは、時の運。でも、それがまた、人が作りえない自然からの贈り物だからこその良さなのかもしれません。

 あるかたの御縁で、星野道夫さんという、主にアラスカを舞台に活躍されていたカメラマンのかたのエッセイ集を手にとりました。日本の大学を出たあと、アラスカに惹かれ、その地にわたり、そしてついにはそこに土地を買い、家をたて、家族と住み、アラスカの自然を愛し、そこで出会う人を愛し、その時間を愛して… 最後は、取材中にカムチャツカで熊に襲われて星になられてしまった…というそのかたのことを、以前、新聞記事で読んだ記憶はあるのですが、本を手にとったのは、初めてでした。

 「ノーザンライツ」には、写真も数多く載っています。 手に取る前は、ノーザンライツのきれいな幻想的な写真がメイン…なのかなと思っていたのですが、そんな写真はもちろんのことですが、それ以上に、そこには彼が出会った人たちのなにげないショット…がたくさんで、その写真は、さながら、たとえば私たちの日常の中でも、撮ってしまいそうな、本当に、”はいチーズ”的な心の近さのような記念写真?が多く、ちょっと意外でした。

 文章の内容自体も、たとえばカメラマンさんが、”このショットを撮るまでに、こんなふうに準備して、これだけ待って、そして…”というようなことを書いている…という内容ではなくて、一人の人間が、彼が心から惹かれた土地と、そこで出会った人たちのとの想いが、気負うことない等身大の言葉であふれれでているもので、そのあたたかな視線と、気持よい心からの言葉に、読んでいるものの心までもがほっと癒されるのを感じました。

 星野道夫… さんというお名前が本名なのかペンネームなのか… わからないのですが、このかたの心がどれだけあたたかで、オープンで、多くの人を心から愛し、愛されてきたかが、やわらかない包まれるような感覚の中で、伝わってきました。

 このかたの笑顔はきっと、会う人、会う人を、ほっこりさせるようなあたたかでくったくのないものだったに違いにない…と、勝手にそんな笑顔をイメージせずにはいられませんでした。

 エッセイ集の「旅をする木」という本も続けて手にとりましたが、こちらも本当にあたたかな、心清涼な世界で、自然の中で人が生きていくこと。自然の中ですべてが生かされていること、アラスカの地に住む人、住むことを選んだひとの表情が見えてくるような本でした。

 この本を読んでいて、思ったのが、映画「イントゥ・ザ・ワイルド」と、その原作「荒野へ」…です。

 自分自身の感想を読みなおしてみたのですが、そのときは”なぜ彼がアラスカの地に行って、あんなふうに生きようとしたのか、それがわからない”。…まさにそうでした。でも、あれから自分の体験の中でもいろいろなことがあり、そして、今この本に出会って、すとんとそれがわかった気がしました。本当は、こういうことを青年の時期に思うべきものなのかもしれませんが、なにせ自分は成長が遅いようで、ようやく今頃になって、気づき、わかりはじめています。あの映画をもう一度みたい。あの本をもう一度読んでみよう…と今、思っています。人がなぜ、ノーザンライツの下で、過酷な自然の中で生きたいと思うのか、それがやっとわかりはじめた気がしています。

  人は、いろいろなところで、スイッチがONになるところ、OFFになるところがあるのかもしれないと思います。 ある体験を通して、自分の心の中で、この夏は、あるスイッチが、”ON”になったと感じています。ちょうど、自分の中でそのスイッチが入るきっかけになったこととこの本の世界がとても重なるからでしょう。私はこのかたのこの本にとても惹かれました。

 

 よい風景、よい風、よい音楽、よい本。そしてよき御縁。そんな時のある夏。 それは、ノーザンライツならぬ、白夜のような夏なのかも…。

|

« 【映画】人生に乾杯! | トップページ | 【映画】南極料理人 »