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【映画】おくりびと

 アカデミー賞のときにも話題になった「おくりびと」をようやく今頃になって、レンタルDVDで鑑賞できました。  実は、キャスティングなどのことから、いわゆる”食べず嫌い…”に似た気持ちがあって、ここまで未見だったのですが、この時期だからなのか… いろいろなことにフィードバックし、しみじみと味わいました。よかったです。

 もうストーリーや内容などは多くのかたがご存じだと思うので、シンプルに感想と雑感だけを書きます。

 なんといっても、あの丁寧な動きがとてもよかったです。最後に、誰かに“大切にされている”…と感じられることは、心に渦巻くものを、たとえ一部でもおさえていけるものものようで。”丁寧”って、いいなぁと思います。

 たとえば、日常でも、みんなの分のお皿を洗う…という動作にしても、ある人は、水をいっぱいだしながら、がちゃがしゃと洗い、またある人は、必要な水量で、こまやかに洗う。もちろんかかる時間などの違いもあるかと思いますが、お皿を洗う音ひとつでも、そこに気配りを感じるかたにであうと、自分の動作を赤面とともにふりかえり、ふっと魅せられます 何にせよ、丁寧な動き…というのが心によいことを、思わずにいられませんでした。

 また、実は、先月、ある遠方に住む親戚を見送りました。納棺の作法も、地方によって違うようで、びっくりしました。この親戚の住んでいるところでは、大きなバスタブ?が用意され、まさに最後の入浴…が行われ、そのあとで、着替え、化粧があり、納棺となるのですが、そのあいだも、実に巧みな手の動きで、肌を見せることはなく、また、たとえ見せないようにであっても、ある場面では、御簾をさげられたり(透けて様子はわかるのですが)…で、いろいろな心配りを感じました。そして、そのお化粧の本当にみごとなこと…。生前のどの場面よりも美しくて、本当にはっとさせられました。

 納棺に立ち会う…というのは、本当に近い親戚、お葬式を”出す”人たちなどだけ。しかも訃報のあと、あわただしく進む通夜、葬儀の打ち合わせの中でのことです。だから、服装だって、ごく普通のそのままの服であるわけです。そんなに慣れている人なんているわけでなく、皆が、非日常で次々に起こることに、ある意味では翻弄されるわけで、眼をみはりながら、またさまざまなことを感じていくわけです。

 この映画でよく描かれていると感じたのは、まさにそんな時間の、そんな人たちの表情や様子でした。

 この映画の”おくりびと”…とは、納棺師を意味することなのだと思いますが、それと同時に、自分のきわめて親しい人を、喪主、もしくはそれに近い立場で葬儀を出す人もまた、”おくりびと”だと思います。

 誰かとの別れ… で、お通夜やお葬式に行くことと、自分がお葬式を出す立場にあること…では、大きな違いがあるとよく思います。

 最後の瞬間から、通夜、告別式を終えるまでの悲しみと煩雑さが怒涛のように押しよせる時間、そして葬儀が終わってからも、さまざまな手続き、宗教的儀式、墓地のことなどの判断と実行を担う”おくりびと”…。その”おくりびと”を経験した人としていない人では、いろんな場面で違いを感じます。もちろん、そういう経験の有無は自分で選べるものではないわけですが。

 ネットで知り合ったかたで、今年、そういうおくりびとになられたかたがおいでです。ときどきWEBで状況を拝読しながら、大変なこといかばかりかといろいろと案じておりました。ご葬儀、家の片づけ、諸手続、納骨など、いろいろと本当に大変な時間を過ごしてこられたと思います。そして今週は初盆。…なんとお声をおかけしてよいかわからず、ずっと何も書かせていただいていませんでしたが、よく頑張っておくられてこられましたね・・・とお声をおかけできたらと思います。お盆の習慣も、地方によってそれぞれなので、どんなふうにお過ごしになられるのかわかりませんが、過ぎていかれる時間の穏やかさをお祈りしたいと思います。

 ああ、そんなことこんなことで、映画の感想自体よりも、心にフィードバックすることばかりを書いてしまいました。

 山崎努さんと余さんが期待どおりの味わいをかもし出されていました。特に山崎さんは、ずいぶん昔に見た“お葬式”という映画を思い出さずにはいられませんでした。あれ?…というところもないではありませんでしたが、なににせよ、丁寧に作られていて、それがとても心によい映画でした。

… ちなみに、いつになるかわからないながら、自分が”おくられびと”になるときのことを考えます。誰に送ってもらえるのか…。式の形態、流してほしい音楽、そして墓地。いろいろと希望はあるのですが、なかなかそんなふうにはしてもらえないでしょうね。もちろん確かめるすべもなく!?。…最後はここで眠りたい… というところの写真をながめては、思わず遠い目になってしまいます。

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