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2009年7月

【読書】神々の山嶺

 「人はなぜ、山に登るのか?」

 …とても訊き尽されたような問いであり、また、「そこに山があるから」…というイギリスの登山家マロリー氏の答えがあまりにも有名な問いでありますが、夢枕漠氏の、「神々の山嶺」に出会って、その問いがまた、「人はいかに生きるか?」の不偏的なものにおきかわることを感じました。

 …山が何よりも好きでありながら、生い立ちにも経済的にもめぐまれず、熱意と力量はあれど、名だたる山の功をあげていくことができない男、羽生。

 山に登るためならば、場合によってはザイルで結ばれたパートナーさえも…と言ってのける男は、またそのキャラゆえ、孤高の人でもありました。 いろいろな過去を抱えて、彼は、単独であるルートと方法で世界の最高峰に登頂しようとします。彼の軌跡を追うカメラマン深町はまた、”誰がエベレストに初めて登頂したか?”の謎の解明につながる可能性のあるカメラに偶然であったことから、点と点が結びついていくように彼と交錯し、彼の孤独な登頂計画に関わっていきます。

 そんな二人を軸に、彼らの周囲の人間模様も描き、人がなぜ山に登るのか…、ひいては、いかに生きるのかを、追っていくお話でした。

  映画「劒岳」をきっかけに、あるかたからこの本のことを教えていただき、読みました。とても読みやすい文体であるだけに、心にすっとしみこみ、いつのまにか自分が、羽生さんにも深町さんにも同化していっていく感覚になり、特に終盤の独白のところでは、のめりこんでしまいました。

 先日、あるかたと、この社会で生きていく人間のタイプを大きくふたつのタイプにわけ、自分はそのどちらであるのか、また、この社会で生きていくにはどちらのタイプがよりよい?ものなのか、また自分が友にしたいのはどちらのタイプか…

 …というようなお話になったところでしたので、その一方の典型であるかのような羽生さん、深町さんのある意味では不器用なまでに真っ直ぐな生き方が、まさにそのままにまっすぐ心に響いてきました。自分は、こういう二人の生き方が好きなので、この本に余計惹かれたのかもしれません。あまり詳しく書くと自分の心をカミングアウトしすぎてしまいそうですので、感想は書きにくくて、ごにょごにょで。自分が惹かれるタイプの人間と、自分が近いような気がする人間がいて、そんなこんなで自分の心に近い本だったということと、書名と、よかったです…という程度にとどめます。

 山登りがお好きなかたはもちろん、以前、テレビのドキュメンタリー番組などでご覧になられて、エベレスト初登頂の謎のことなどに興味があるかた、さらには、いかに生きるかで、周囲との関係などに思うところありのかたにもお勧めしたい一冊です。教えてくださったかたに心から感謝します。

 IMAX映画の”エベレスト”(AMAZONで今探してみたのですが見つからなくて残念…)が大好きというお話を以前にここで書いたと思いますが、なぜか昔から、エベレストは私にとって、とても気になるところです。きっとこれからもエベレストのことは、はるかかなたの地上から追っていくと思います。 

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【音楽】最愛

 昔は、よく、どこかで耳にしてはっとした曲があると、まずその曲が何であるかをつきとめ(?)、それからCDを買ったりしていたのですが、もう長いこと、そういうことをしなくなってしまっていました。特に、歌詞に惹かれて…ということなどなくなりました。

 感性がにぶくなったというのか、はたまた人生に疲れが出てしまっているのか…(とほ)。

 ところが、久々に、“♪”…となって、探して、CDを買うという行動をしてしまったのです。

 ある映画のエンディングで聴き、また、テレビのCMで聴き、気になっていたその曲は、“最愛”。 福山雅治さんというかたのものです。

 先日レンタルDVDで映画を見て曲が素敵だなぁと思っていたところに、先日、実はテレビが壊れてしまい、買い換えにでかけた電器店で、この曲が流れていて、さらに、横にこのかたの大きなパネルがあって…。これも何かのめぐりあわせなのかもと思いました。

 …わぉ♪ 素敵なかた… 

 思わず、テレビよりもこのパネル、欲しい…と思ってしまいました。

 福山さんというかた、以前もドラマや何かの番組できっとみかけたことはあったと思うのですが、曲とぴったり雰囲気が重なって、相乗効果で。

 いつもであれば、気にいった曲をみつけるとシングルCDで買うのですが、今回は、他にどんな曲を歌われているのか気になって、”残響”という、この曲が収録されているアルバムを買ってしまいました♪ 

 さらに、こんな素敵なかたを見ているときっと心によいかも~と思って、DVD付きのものを♪ (お値段がかわらなかったのでお得ですし♪)

 ところが、るん♪として買った直後に、あれこれと忙しくなってしまい、まだ”最愛”しか聴いていません。他の知らない曲を聴くには、エネルギーがいりますので…

 それでも、”最愛”の歌詞を、歌詞カードで追うなどということも久々のことで、なんだかちょっと青春時代に戻った気分です。

 また、なぜか私は、周囲の人と“素敵な男性”と思う趣味が違うらしくて、「このかた、素敵♪」というと、いつも「どんな趣味しているの?」と、あきれられてしまうのですが、今回は、なぜか周囲の人も納得の“素敵な男性”で、「あれ?どうしたの? 今回はマトモな人をかっこいいっていっているじゃない?」と言われたり。

 …これまでに“素敵♪”といったかたがたの名前はあえてここでは書かないでおきましょう。ただ、私にしては、昔から大好きなあるイタリア人元F1ドライバーにどこか似ているところがあると思っているのですけれど…。

 

 … ということで、久々に、みーはーマインドおさえきれずにこんなことを書いてしまいました。 ちなみにこの曲、”容疑者Xの献身”のラストに流れた曲で、この曲は、映画の最後に流れることを意識して作られたと、ネットで情報を探しているときに読みました。 映画の中でのシーンとともに、この曲が流れたときの想いが蘇ってきます。

 ああ、久々に昔に戻ったような。歌詞にキュンとなっていた学生時代のいくつかのシーンが妙にフラッシュバックしてしまいます…。

 

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【読書】朗読者

 映画”愛を読むひと”の原作、「朗読者」 ベルンハルト・シュリンク氏著。

 以前、あるかたから紹介されていて本を買っていたものを、今回の映画化のニュースであらためて書棚から取り出し、読みました。買ったばかりのときは、何らかの理由で読まずのままだったのですが、この映画を機会に読むことができて、とてもよかったと思いました。

 21歳年上の女性に本を読み語る15歳の少年。彼女がなぜ、彼に本を読んでというのか…。そして、時を経て、また本を読み語る状況がおこったその二人の背景。特にこの女性ハンナの人生とその想いには、胸をうたれずにはいられず、特に後半、いっきにひきこまれました。

 最後まで読み終えると、すぐに最初のページに戻りたくなりました。それは、”あの少年との時間の意味”を、すべてを知った後で読みなおして考えたくなったからです。

 この春から、ずっと心の中でよどんでいた人が学ぶことの意味、人が知を持つことの意味に、自分が欲しかった形でのある明確な答えを得ることができ、読み終わったあとに、”そうよね、そうよね…”と思うことができ、胸がいっぱいになるようなハンナの心と生きざまを思いながら、彼女に心からの敬意を払いたいと思いました。

 これから本を読まれるかたのために、具体的なことをここで書きたくないので、なんとも書きにくいのですが、学歴のあるなしなどでなく、真に知を持ち、知に敬意を持って生きることの意味を考えずにはいられませんでした。

 映画のほうはまだ見ていなくて、逆年齢差?のかなりドキドキするシーンが多いことなどがよく話題になったり、また、美容院で美容師さんからは、ラストシーンまで聞いてしまい(…)そのシーンに”はて?”となったりもしているのですが、とても気になる映画で、どこかで見に行くことができたら…と思っています。 

 タイトルは直訳すると”朗読する男”だそうで、一人称での語りを含めて、主は、この”男”なのかもしれませんが、本を読む限りなんといっても圧倒されるのは、この女性の人物像、生き方です。哀しいほどにピュアなこの女性が、映画でもそう描かれていたらいいのですが…。

 ひさびさに、哀しさの先の透明の空を見た気がする作品でした。

 ”音読”…。久しくしたことがない、きくこともないものですが、ふっと公園のベンチで、そんな時間が持てたら…とも考えてしまいました。(“ノッティングヒルの恋人”の一シーンを思い描きつつ…)

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