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【映画】はりまや橋

 とても素敵な映画に出会ったので、久々に更新します。

 「The Harimaya bridge はりまや橋」。

 監督のアロン・ウルフォーク氏は、かつて英語教師(ALT)として高知で過ごした経験があり、その経験を、自らの長編映画デビューに活かしました。(ALTとはAssistant Language Teacher 英語指導助手といわれて、小学校や中学校などの英語の授業に、英語担当の先生とともに教える外国人)

 サンフランシスコに住む写真家ダニエル(ベン・ギロリ)は、父親を第二次世界大戦中に日本軍による捕虜虐殺で亡くし、日本には憎しみの念をいだいていました。ところがあろうことか、一人息子ミッキーはその日本に行き、高知でALTとして働きはじめます。そしてその息子は、担当する学校に出かける途中で交通事故に遭い亡くなってしまうのです。

 絵を描くのが大好きだったミッキーの遺品の中には、高知でミッキーの絵を所有している人たちのリストが入っていました。父ダニエルは、日本に息子の絵が残ることが承知できず、自らそれを回収するために来日します。さらには、息子に日本人のガールフレンドがいたらしいことも遺品の中の写真からわかり、心乱れます。

 ダニエルにとって、日本はとんでもない国。それなのに、到着した空港で彼を思いがけずむかえたのは、ミッキーがかつて職場としていたところの人たちでした。”ミッキーのお父さん”ということで、彼らはとてもあたたかくダニエルをむかえ、いろいろと力になろうとします。でも、かたくななダニエルは、そんな人の心も傷つけていくばかり。

 そして、ミッキーを弟のようにかわいがっていた原先生(清水美沙)らと、息子の絵をたどっていっているうちに、知的障害を持つ少女(穂のか)と出会います。彼女の書いた絵から、ミッキーは、日本の女性紀子(高岡早紀)と結婚していたこと、そして二人の間にはどうやら子どもがいるということを知ります。

 そして、ダニエルは、その紀子と子供たちを探し始めるのです…。

 …☆ あとのストーリーはご覧になられてから ☆… 

 国籍、人種、言葉、文化、そしてそれらがもたらす偏見…。 

 それを正面から眼をそらすことなくとらえ、そしてその上で、人と人とが理解しあっていくことの可能性をポジティブにとらえた作品でした。もちろん、人と人とは、ただそこにいるだけで理解しあえるものではなく、あるときはぶつかりながらであっても、真摯な心をもっているからこそ歩み寄れるのだということを感じました。

 …私は四国には一度も行ったことがないのですが、こんなに美しいところなのか…と、四国だけでなく日本の美しさを再発見させられるようなシーンがたくさんあり、しかもそのシーンがどれも、とても心にあたたかく優しいものでした。山の斜面の段々になっているところなど、眼をみはりました。

 ガイジンさんが、外から日本を見て撮った… という作品ではなく、本当にオープンマインドの人間が、素直に心の眼をもって見て感じたからこそこの作品ができた…と思いました。

 上映前に、アロン監督による舞台挨拶がありましたが、若くてとてもきさくなトークで、”You know”が、いっぱいちりばめられたお話でした。会場では、国際交流関係の試写会ということもあってか、日本人が半分くらい、ガイジンさん(たぶんALTさんなど)が半分くらい。英語でない言葉(…としかわかりません。何語かまでは????)もいっぱい聞こえてきていました。映画では、セリフと字幕とで、日本と英語が不思議なくらいにベストミックスになっていたので、そういうのが、ガイジンさんにとってどれくらい自然に入っていくのかはわかりませんが。

 清水美沙さんや、高岡早紀さんの英語がちっとも、ちぐはぐに聞こえなくて、そんな自然さがまたとてもよかったです。 おふたりとも、とても素敵でした。また、映画中に登場していた知的障害を持つ中学生役は、穂のかさんという女優さんのデビューにあたるものだとか。一生懸命役に取り組もうとしておいでの様子が伝わってきました。

もうひとり、とても存在感のある役(英語できないのに英語の歌はとても上手な女の子)をmisonoさんという人が演じていて、こちらもとてもよかったです。

 ラストの展開がとても気持ちよかったし、変な小手先?技ではなくて、とてもストレートで、しかもいろいろな日本のシーンを丁寧にきりとっている映画でした。

 監督の舞台挨拶の中で、”はりまや橋”というのは、訪れた人が失望することでも有名な橋…だというお話がありましたが、でも、この映画の中で映し出されているはりまや橋は、とてもきれいで、その時に流れていたお話にもひきこまれました。そして、この映画”はりまや橋”には、私はまったく失望しませんでした。

 6月中旬から公開のようで、もしお近くで上映されていましたら…と、おすすめしたい作品です。

 公式サイトはこちらです。 http://www.harimaya-bridge.jp/

 なお、はりまや橋には悲恋があるそうで(映画の中できいたところによりますと)それに関するお話の本もあるようです。

 僧侶の悲恋…とのこと。このお話、きになります。もっと知りたくなりました。

 また、私はこの映画の中にでてくる登場人物の中では、神社の神主さんがとても好きでした。ほんの少しだけの登場でしたが・・・と、ぼそ…。

 ☆☆

 …ずっと更新していなくて、いろいろなかたからご心配やお心遣いのメールをいただきありがとうございました。何に迷い、何を思っているかは、返信メールなどに書かせていただきました。ずっと、どよよんとモノを思っている様子を心配してくださったかたが、”気分転換に”と、この上映会に誘ってくださいまして、この作品に出会うことができました。

 人の心の気持ちよさを感じた作品、感じた場面などだけでも、伝えていける場として、やはりここはおいておこうと思います。 更新は気まぐれ&不定期&出会い次第ですが、人のこころの善に出会えるとパワーをいただけるもので☆

 感謝感謝です。

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