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2009年4月

【スラムドッグ$ミリオネア】

 舞台はインド・ムンバイ。4択クイズの一問一問に正解を重ねるたびに賞金が飛躍的に増えていくけれど、”さらに”をめざして、間違えてしまったら、それまでのものが水の泡になるというクイズ番組。

 そのクイズ番組で、スラム出身で、まともに学校に通うことすらなかった青年が大金をとってしまい、”ばんなそかな・・・”と、いかさまを疑われて警察に取り調べられてしまいます。その青年は、なぜそのクイズ番組にでようとしたのか、なぜ、それだけ正解を重ねていくことができたのか…。警察の取り調べの中でその理由を青年が語っていくうちに物語が進行していく、今年のアカデミー賞受賞の「スラムドッグ$ミリオネア」を見てまいりました。

 原作の”ぼくと1ルピーの神様”が、とてもおもしろかったので、映画の公開を楽しみにしていました。また、なんといっても、舞台がインドなのですから。

(ちなみに、原作の感想はこちらです。

http://ecoecomat.way-nifty.com/blog/2009/03/post-0c08.html

 …原作とはずいぶん違っていましたが、それでも映画は映画としての長所を活かしていたと思います。インドのスラムを言葉で表現するのは難しいけれど、映像では、そのままに見せられます。また、インドの映画のメッカ、ハリウッドをもじってボリウッドといわれるムンバイ(元の名前がボンベイ)を舞台にしているところ、またそのインド映画のスター、アミターブ・バッチャンを冒頭のシーンに入れているところ、そして、最後のシーンに至るまで、インド人の監督によるといったようなインド映画ではないのに、インドの映画エッセンスもふんだんに入れてあるところがおもしろかったです。

 主役を演じた青年デーヴ・パテルさんは、ムンバイで発掘された俳優さんではなく、イギリス生まれなのだとか。すごくたくましい感じ…などではなく、“負け犬”のような雰囲気の青年を…ということだったそうですが、“負け犬”という言葉がふさわしくない気がしました。とてもよい感じでした。”遠い空の向こうに”の、ホーマー青年に似ている気がしました。そのほかのキャスティングもとてもよかったです。

 また、インドの映画といえば音楽が命…でもあるのですが、この映画の音楽もよかったです。

 貫かれていることは、”愛”。そして”運命” そのシンプルさが、またよかったと思います。最後まで、はらはらします。いろいろなかたにおすすめしたい映画です。が、この映画に興味をもたれましたら、ぜひ原作も読まれてみてください。より複雑なインドを、原作のほうではよく表現されています。

 …本当に。満足なような、物足りないような、ちょっと複雑な感想なのです。

 …自分の人生の中で忘れられない経験の中に、まさにこの映画の舞台となったムンバイで、人身売買の被害者で、売春をしていくしかない女性たちと、その子どもたちとあったこと… が、あります。まさにスラム…といえるようなところで、ほんのわずかな時間でしたが、その女性たちからいろいろと話をきいたり、子どもたちと一緒に映画音楽にあわせて踊ったりしたことが忘れられません。まさにこの映画にでてくるようなスラムの中でのことでした。

 そして、この映画にでてくるタージマハールの近くでは、わざとに傷つけられたとしか思えない、不自然に手足が曲がった子どもたちが物乞いをしていました。

 さらにこの映画にもでてくる、ムンバイのセントラルステーションでは、圧倒されるような人の波の中で、いろいろなドラマが見えました。よくあの人ごみの中で、探し人を見つけられるなぁ…と、この映画の中の設定にびっくりしたりしつつ、あの駅を懐かしく思い出していました。

 ほんの一部にしか過ぎないにせよ、この映画は、よく切り取っていたと思います。

 ああ、この映画については、書くときりがなくなりそうなので、またどこぞ別のところで…ということでこれくらいで…。

  

 ちなみに、この映画で貫かれていたのは、”愛”。そして、”運命”。このうち、運命については、映画の中では、”destiny”という言葉が使われていました。インド出身の知人は、よく”fate”といいます。そこで、この映画をみたあと、この知人に国際電話をかけてきいてみましたら、fate よりはdestinyのほうが、明るく希望があるものなのだと言われていました。なるほど…です。 その”destiny”のストーリーのせいか、映画を見終えたあとは、明るい希望をもらった気がしました。

 でも、アカデミーで8部門も受賞しているこの映画が、私が住む地区のシネコンでも、たった一か所しか上映されていません。…ほかの映画の公開状況に比べて、なぜこんな状況が起こるのか不思議でしかたありません。

 うーん。…

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【映画】アポカリプト

 レンタルビデオ屋さんで、ケースと、中身が違っていることに気がつかずにレンタルしてしまい、あれ?なぜこれが? これはいったいどんな映画?… と思って見始めたのが、”アポカリプト”でした。

 南米の森を舞台にした、二つの部族の闘争劇ですが、とても平和に森との共存で生きている部族が、侵略を繰り返す部族に襲われ、捕まえられ、あるものは生贄にされ、そして、主人公は、ひたすら、逃走するので、闘争劇というよりも逃走劇といえるものかもしれません。

 R15は伊達ではない…と思うほど、確かにすごい映画で、殺戮の残酷さは眼を覆いたくなります。特に、心臓がえぐりだされるようなシーンが何度もでてくるので、15歳以上でも、覚悟してみないといけない映画だと思います。

 メル・ギブソン氏による制作の映画というと、キリストの受難を描いた“パッション”を思いだすのですが、どうしてこのかたは、こんなにも痛そうな映画ばかりを…と思わずにいられませんでした。

 でも、ただ単に残酷なだけの映画ではありません。この映画で、心にしみたのは、両方の部族の“父”の言葉です。恐怖との向き合い方を教える父。そして、もう一人の息子への最後の言葉には、親としての想いがあふれていました。

 この映画での文明の考証については、いろいろと難点があげられているようですが、少々デフォルメされているとはいえ、人(文明)の生活の原点を感じずにはいられない、たぶん、多少は違えど、人類の昔はこんなふうな経過をたどってきたのでは…と思える映画でした。

 恐怖を心から追い払うこと。

 …Fear can hold you prisoner.

 ”ショーシャンクの空に”のポスターの言葉として忘れられないのですが、時を超えても、恐れとの向き合い方が人を変えることに違いはないと思いました。

 怖くて怖くてたまらないのに、返却前にもう一度見ておこうと思ってしまいます。

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【読書】新日鉄vsミタル

 以前、NHKスペシャルで、新日鉄が、敵対的買収をしかけられるかもしれないミタルに対して、どう対応していこうとするのかを描いたドキュメンタリー、「敵対的買収を防げ ~新日鉄トップの決断~」を見た時に、背筋に走るものを感じました。

 インド出身のミタル氏が、次々に世界中の多くの鉄鋼会社を買収していき、その膨大な力をもって、ヨーロッパの鉄鋼会社アルセロールを買収。その次に、ミタルが買収をしかける相手は、その高い技術力を欲しての新日鉄だ…と言われたりしていました。

 そして、新日鉄は、アルセロールとミタルの攻防戦を調査・分析まとめた資料を作成。そこには、”(敵対的買収をもしも、しかけられたとき、)万全な買収防衛策は存在しない…。”と分析されています。

  新日鉄のトップ、三村氏は、その状況にどう対処していくのか…。

 息詰まるような番組の内容を本にまとめたものを読み、あらためて、背筋に走るものを感じました。

 トップとトップの一騎打ち?のような会談シーンに向かう緊張感はすごく、どんなフィクションよりも、世界的規模の会社で実際に行われているシーンであるだけに、せまってくるものがありました。 両社のベールにはばまれての取材の苦労も、行間からにじみでてはいましたが、欲を言うならば、もう2歩、3歩。踏み込んでいただきたいと願うのは贅沢すぎでしょうか。

 企業は? またそのトップはどうあるべきか?…

 非常に深い部分を勝手に思わずにはいられない本でした。新日鉄とそのトップの行動はまさに王道と言えるような道です。企業風土によるものが大きいと思いますが、それでもそこに至った想いに熱くひかれます。 とてもわかりやすくおもしろい本ですので、いろいろなかたにおすすめしたいです。

 

 ちなみに、この敵対的買収ですが、今はその危機がとりあえずさったと言われています。昨秋のリーマンショック以来、ミタル、新日鉄ともに株価は大きく下落したのですが、新日鉄よりもミタルのほうの下落率がはるかに大きく、それによって、時価総額の差が縮まったことによります。

  

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【映画】イエスマン

 ”YES”は人生のパスワード。

 …どんなことにも、すぐ”No”といい、友人からの誘いも、ことごとく、屁理屈や言い訳をつけて断っていた後ろ向き男さんが、あるとき天啓?を受けるように、”そうだ、すべてにYESと言おう”…と方向転換して、人生を新たに歩みだす… とどうなるか?

 …という、ダニー・ウォレス氏著、寺西のぶ子氏訳の本を、ここ1週間以上、ずっと鞄の中に入れていました。とても最初はすっと入っていくことができて、なんだかまるでここ3か月の自分のようなNO マンの主人公と、その”Change”を興味深く読み始めたのですが、なぜか途中から、ページが進まなくなってしまいました。(あまりに荒唐無稽なYESが続くためのたぶん疲れかと…)

 40%くらいまで読んだところで、このままではこの本を何か月も持ち続け、結局、そのためにほかの本に手をつけられずになっていく膠着の予感?から、”そうだ、映画に行こう”…と、この本をもとにした映画にとうとうでかけてしまいました。本当は、読み終わってから行くつもりだったのですが。

 ”映画”のほうの“イエスマン”は、“ノー”さんが、“イエス”に変わっていく…という点だけは一緒ですが、天啓?を受けた方法も違いますし、いろいろと“イエス”を言っていく状況も違い、ずっとスムーズに楽しめました。

 原作では、主人公は、迷惑メールフォルダーに入っていきそうな変なメールにかたっぱしから、”YES”と返信していって巻き起こるまさかの騒動みたいなものが延々と続くのですが、映画では、主人公は銀行の融資係。いろいろな融資依頼に、それまでは、却下、却下、却下…だったものを、OKの連発にしていく…というようなYESなどで、もっとすっきりと進んでいくことができました。

 YESということで、めぐりあっていく女性との縁などもとても自然?でした。

 ちょっとびっくりのシーンなどもはさみ、2時間を楽しくすごせる映画で、”もっと早くいっておけばよかった…”と、思いました。一人でふらっとの気分転換にでも、またデート・ムービーとしてもおすすめです。

  ちなみに、今、私の周囲では、“ハイマン”という言葉が流行中?です。映画の中の“イエスマン”とは少し違う意味で、女性から、”これをして”と言われると、“ハイ”と言ってすべてをしてあげてしまう男性のことです。お姫様と下僕の関係とも言われるのですが、“下僕でいい”“下僕がいい”そうで。(そのほうが摩擦が少なくて楽だから・・・だそうです)… ふみゅ。

 

 この冬は、ずっと体調不良と気力の低下、えとせとらから、私も、ずっとNoばかりを言ってきました。キャンセルできる用事は全部キャンセルし、ひごろは極力断らないことにしている知人からのランチやおしゃべりのお誘いなどにも、全部No…で、ああ、こんなにNOを言うのは人生の中ではじめてだ…と思うほどだったのですが、やっとここ2週間くらい、また、YESと言えるようになってきました。

 ”首は縦にふるためにあるのよ”…

 あるかたのそんなふうな言葉に、たまたま出会ったということもあって、原作本を読み始めたときには、まさにこれは今の自分にぴったりのようなお話だと思ったりしました。

 “イエス”“ノー”…その二つの言葉にどうやって向き合うのかは、映画を観終わったときにはすっきり整理がつき、 結局原作本は、最初の40%を読んだ先は、全部とばして、最後の10ページだけを読み、それで終わりにしました。

 YES、No… 私の中で、この春のキーワードになりそうです。

 

 

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【読書】火山はすごい(鎌田浩毅氏)

 昨晩、テレビのニュースに続く番組まで、なにげにテレビをつけっぱなしにしていましたら、”鎌田浩毅”さんというお名前のかたがきこえてまいりました。え?…と思って見てみますと京都大学教授で、火山が専門のかたとのこと。

 …#%&$(”!(’&%$#)…(←文字化けではありません。絶句で火星人語になってしまいました。)

 …自分が好きな本の著者はどんなかたかとは時々思ったりするのですが、まさかこんな形でお姿拝見するとは思ってもいませんでした。また、それが、実に芸術的というか個性的なファッションのお姿で。

 …数年前、島原に旅行に行った時に買ったのが、この著者による”火山はすごい”~日本列島の自然学という本です。阿蘇山、富士山、雲仙普賢岳、有珠山、三宅島という日本の代表的な火山のお話にからめまして、火山のメカニズム、噴火予測のことから火山学者の仕事まで、広くわかりやすく語られている本で、その夜、宿でいっきに読んでしまうほどに読みやすく興味深い本でした。

 早速、そのころ書いていたホームページで紹介し、その際に鎌田先生の研究室のページへのリンクをさせていただけたらと思い、そのサイトの“メール”のところから、リンクおねがいメールをさしあげましたら、先生ご自身からとても丁寧なメールをいただき、感激した記憶があります。2通ほど、やりとりをさせていただいたでしょうか…。そんな小さな思い出でも、本に付加される思い出があると、なんとなく楽しい気持ちになれるものです。

 それで、ずっと、自分に一番近い本棚の中の前面のほうに置いていた本を、昨晩久々に手にとりなおしてみました。まだ、少ししか読みなおしていないのですが、やっぱりわくわくします。

 テレビ番組(ソクラテスの人事…というタイトル?)の中ではちょっと不思議なキャラ?的に登場されていたこの先生に興味をもたれたかたも、また、火山に興味を持っておいでのかたも、ぜひこの本は…とおすすめいたします。

 ちなみにこの先生は火山の本の他にもいろいろな“理系”本なども書かれています。文章方程式…という本も読んでみました。

 

 … ここ2年、妙にまた”かざん”に関わりを持ってしまっていまして、その奇縁を考えながら眠りについた昨晩でした…。

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