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2009年3月

【コミック】深夜食堂(1~3)

 真夜中の12時に開店し、朝7時に閉店する… そんな「深夜食堂」にやってくるお客さんたちの人生と、ほっこりした忘れられないメニューのおはなしのコミックを読みました。

 安倍夜郎氏作 小学館です。

 お店に掲げられているメニューは、豚汁定食にビール、酒、焼酎。それだけ。

 あとは、お客さんが勝手に注文して、店の主人が、材料があって作れるものならば、作る…。ビーフストロガノフなる初めてのメニューだって、作る。そんな食堂です。

 お客が注文するのは、赤いウィンナー、きのうのカレー、ねこまんま、スパゲッティ・ナポリタン、ポテトサラダ、肉じゃが、時にデザートにプリンなど。

 なんだかそんなお品書きを見ているだけでほっとできてしまいます。お客さんの人生模様も、ちょっとびっくりするような人生であっても、あぁ、なるほどね・・・とすとんとおちてしまえるのは、独特の絵と、にじみでてくるあたたかさからかな?

 ドラマ”HERO”の、「あるよ~」と答えてなんでも作ってしまうマスターを思い出したり、中島みゆきさんの「狼になりたい」…で歌われるような夜明け間際の牛丼屋さんのような情景だったり、いろんな思いが重なってきます。

 とてもよみやすい一話完結型のコミックなのに、なんとなく、ゆっくり、じっくり読みました。3冊。満腹…どころか、もっと何か食べたい気分です。贈ってくださったかたに感謝しています。本当におごちそうさまです。

 深夜でもないし、食堂にいるわけでもないけれど、メールや手紙で、ぼそぼそあたたかさをいただける。そんなこんなに助けられている自分に気がつく「深夜食堂」でした。

 私は、うーん… 子どものころ好きだったバター味のあまい卵焼きが食べたくなりました。それに、子どものころ、寝台列車の食堂車で食べたポタージュスープも。 

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【映画】マリア

 季節にあった映画ではないのですが、ずっと観たかった映画「マリア」をレンタルDVDで観ました。このマリアとは、もちろん聖母マリアのことです。

 受胎告知から、イエスの誕生にいたるまでを、穏やかでもあり、また悪徳王ヘロデの施政を使ってドラマチックにもして、描いています。キリストの受難を描いた“パッション”と同様のキリスト教映画ながら、こちらのほうが、多くの人に受け入れられやすい内容であると思います。クリスマスは何の日?… で、“ケーキを買って食べる日””ゲームをもらう日””サンタクロースが来る日”… では終わられませんよう、思想信条宗教の相違に関係なく、一度ご覧になられていることをおすすめいたします。

 なぜ、この映画を見てみたかったかというと、イエスの育ての父?であるヨセフについて語られることが、とても少ないからです。この映画の主人公はもちろん“マリア”ですが、一番、心にひびくキャラは、ヨセフです。昨年、サグラダ・ファミリアを訪れたときに、聖家族教会として、キリストとマリアとヨセフをまつり、特にヨセフについての想いがこめられた教会だときき、はっと…したものです。そういえば、ヨセフについて語られることはあまりになさすぎだと…。

 でも、ヨセフの立場を考えるとき、その苦悩と引き受けることの大きさはいかばかりかと思うと、本当にもっともっと語られてよいのではないかと思わずにいられませんでした。この映画では、そのあたりが、抑えた描写ながらとてもよく描かれていると思いました。

 内容については、一部聖書の記述とは違うと言われるところがありますが(三人の賢者の訪れるタイミングなど)、この映画で語られたいことの大勢を揺るがすようなものではないと思います。

 ぜひ、神の子を宿した妻を持つ夫としてのヨセフのことを思い、この映画をご覧になってほしいと思いました。タイトルは、私にとっては”ヨセフ”でもありました。

 (おまけ)ちなみに、ヨセフを演じた俳優さんはなんという人だろうと思いエンドロールをみていますと、その先のほうにはさらにロバの名前までも登場していてびっくりしました。

 

 …ところで、デパートの地下のお菓子売り場の夕方閉店前の時間帯には、いつもはみかけないほどのたくさんの男性の姿があって、売り場が大混雑していました。少しはにかまれたようなあたたかな表情をふっとおみかけすると、思わず、いつもにない行列体験(なぜにお菓子売り場のレジでこんなに待つの…と思うほどに)もまた幸せな時間になります。 業界に踊らされる?一日であろうとも、ハートによい日であればそれもまた♪…と思いました。あたたかな気持になった映画を見たあとというのは、またそんなふうにすべてを思えるのかもしれません。

(以上敬称略)

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【読書】ぼくと1ルピーの神様

 このたびアカデミー賞を受賞した”スラムドッグ&ミリオネア”という作品の原作、”ぼくと1ルピーの神様”は、とてもおもしろい小説でした。

 インドの孤児ラムは、クイズ・ミリオネアのようなクイズ番組でみごと全問正解し、史上最高額の賞金を勝ち取るのですが、学校にもまともに行っていない彼にそんな難問を答えていけるわけがない、そこに何か不正があるはずだと、彼は警察に逮捕されてしまいます。(裏ではそんなまさかの賞金を払いたくない制作会社の事情ありで) ところが、彼がそれらの難問を答えていくことができたにはあるわけがありました。

 彼が歩んだ人生とともに、なぜ彼がその問題を解けたのか…が解き明かされていくこの本はインドをのぞき知る上でもとてもおもしろい本でした。映画でどんなふうに表現されていくのかなんとなく想像がつくだけに、映画も早く見たくてたまりません。

 構成が実に巧みで、最後まで飽きることがありません。またこの本の中に、いろいろなインドの断面もでてきます。タージマハールを訪れたときに、その想像を超えた美しさに惹かれたこと、またその近くのアグラ城前でたくさんみかけた、多くの身体に障害をもった子供たちの姿、また、ハリウッドをもじってボリウッドといわれるほどの映画の都ボンベイ(今の名前はムンバイ)でたくさんみかけた映画のポスター、そして実名が出てくるインド映画のスターたち…。いろいろなシーンがとても心に響きました。インド好きのかたにはもちろんそうでないかたにもおすすめしたい本にめぐりあえましたので、ぴゅんとご紹介までに。

 お手に取られる前に、ラム・ムハンマド・トーマス。…主人公のこの名前の意味を少し考えてから入られると、この本をよりいっそう楽しまれるのではないかと思います。インド人を描いた作品”その名にちなんで”といい…本当に名前に表現されるものは大きいと感じます。 

その名にちなんで (新潮文庫)

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【映画】チェンジリング

 あるかたに薦めていただいて、「チェンジリング」を見てまいりました。

 70年ほど前のアメリカで、実話に基づくとのこと。ある女性が、仕事で家を留守にしている間に、留守番をしていた息子が行方不明になってしまいます。必死に息子を探す彼女のもとに、警察が連絡してきて、「息子さんが見つかった」と。ただ、そうやってひきあわされた息子は、自分の息子ではなかったのです。でも、警察は自分たちの都合で、その“息子”を息子と認めない母親…その女性を責め、とうとう精神病院に入院させてしまうありさまです。…本物の息子は今どこに…?… そして、事件の真相は恐るべきものにつながっていきます。…

 クリント・イーストウッド監督による作品で、最初から最後まで、時間を感じさせることなくいっきにそのストーリーに引き込まれていきました。時代を映しだす情景が、きっとCGによるものだと思うのですが、またとても情感あふれるものでした。すべてがさながらセピア色の遠い昔のそのときのそのままの映像…として流れていくようでした。

 また、ストーリーに盛り込まれているものが実に多種多彩です。子どもが消えた母親の心情はもちろん、事実を隠ぺいしようとする警察の人間の動き、支援にあたる教会関係者のこと、精神病院での医者、看護師、患者たちそれぞれのこと、そして、事件の核心につながっていくある犯罪に関すること…。

 本当に、大きなバスケットにびっしりつめられたアメリカ料理のフルコース…(それがどんなものか私はよくわからないのですが…サーロインステーキにポテトにコーンに…)をしっかり味わったという気がしました。

 ちょうどアカデミー賞の発表の翌日に見たのでとてもまたそれと重なったのかもしれませんが、とても”アカデミー賞を意識した”作品であり、そんな意味でとてもタイムリーではありました。たとえば、最後の場面でも、さりげなくそのことを入れられていて、そういう細部への心配りにも驚きました。

 ただ、どうしてもぬぐえない違和感を持ったことがいくつかありました。ひとつは、主演の女性の化粧です。とにかく目のまわりのお化粧(特に、眼の下のところを黒く?ぬる…なんというのかわからないのですが)は、何か意味がほかにあるのだろうか?と考えさせられるほどでした。仕事にでかけたりするときならばともかく、そうでない普通の時、子供の心配をしているときでも、あのお化粧…というのは…。私は自分が化粧をほとんどしないほうなのでなんともいえないのですが、特になにか心配なことがあったときは、化粧をする余裕などはなくしてしまう(化粧なんてどうでもよいことだと思う)だけに、うーん、うーん、うーんでした。

 それから、”息子としてやってきた少年”…のことです。彼は誰よりも自分が、“息子”でないことを知っている。それなのになぜああやっていられるのか? “息子になりすまそう”と思った動機も明らかにされるのですが、そんなことでそこまでずっと?と思えるようなことでした。またその“息子としてやってきた少年”の母親についても、??????で、このあたりは本当に不思議でした。

 そのほか、事件の核心に近づく別の恐ろしい犯罪のことについても、その犯人の気持がいまひとつ、ストンと落ちなくて、そのほかいろいろと…。

 実に丁寧にいろいろと盛り込まれているからこそ逆になんだか気になるところが多く出てくる映画でした。(同じ映画を見た方といっぱい語り合ってみたいですね・・・)でも、とはいえ本当に高密度の映画で、久々に、映画を見ることを味わい尽くした気がしました。おすすめくださったかたに感謝しています。クリント・イーストウッド監督の作品は、満腹感を覚える濃密な作品が多いのかもと感じます。

 ところで、昨晩は、テレビで、”チームバチスタの栄光”を観ました。原作のほうがおもしろい…ときいていまして、なかなかレンタルにも行っていなかったのですが、原作でとても苦手だったキャラクターが、映画では厭味な面は残しつつも、原作ほどではなかったので、ちょっとほっとしました。 ただ主人公は、やっぱり原作のままの男性キャラのほうがよい気がしましたが。

 …シリーズの他の本(ジェネラル・ルージュの…など)も興味はあるのですが、とにかくあのスワンさんのキャラは超苦手で、バチスタも読み直す気力がおきないほどなので、ちょっとこのシリーズ全体からひいてしまっているのが本音です。キャラクター造形というのは、どういうものなのか… ここまで極端な必要があるのか… バチスタのスワンさんと、また、このチェンジリングのお化粧とが、なんとなく、どこかでつながって思ってしまいました。…

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