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【本】チャイルド44

 (ああ、こんな時間こそが欲しかったものなのだ…)…と、いう時間を与えてくれた本に出会いました。「チャイルド44」 トム・ロブ・スミス氏著 田口俊樹氏訳 新潮文庫(上下巻)です。

 スターリンの恐怖政治のもとでの旧ソ連で、子どもたちが次々に猟奇的な方法で殺害されていく事件を追っていくレオという男性が追います。彼は国家保安省の上級捜査官でしたが、姦計にあい、田舎の民警にとばされます。”この国に犯罪は存在しない”国での犯罪との向き合い方、あることないことでっちあげる…どころか、ないことないこともでっちあげられてしまう中で、一瞬たりとも気をぬいては生きていけないその厳しさは、もしかしたら、シベリアの極寒よりも心に寒いかもと思わずにはいられないモスクワ、シベリアなどの地を舞台に展開するミステリー小説です。が、とてもこの本のおもしろさは、ストーリーをならべたてるだけでは伝わらないと思います。

 また、とてもフェアに伏線がきちんとはられている本で、そんな意味でとてもさわやかでもありました。

 いっきにひきこまれて、一瞬たりともあきたりすることなく、次はどうなるのかどうなるのかと…知りたくて、ほかにしないといけないことを全部後回しにして読んでしまった…その理由のひとつに、テンポのある流れの中で、その文体の飾らなさ、抑制された品の良さ?がある気がします。

 それは、著者自身によるものだけでなく、それを日本語訳にして出された過程でも十分に注意を払われたからではないかと思います。

 下巻の最後にある訳者のあとがきによると、このお話は、実際にあった事件に着想を得て書かれたものであるということ。さらには、二十数カ国で翻訳が決まっているのに、ロシアでは発売禁止になっているのだとか。

 しばし時を忘れて、数時間のジェットコースター気分をこたつの中で味わうにはとてもよい本でした。おすすめくださったかたに感謝感謝です。

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