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【映画】イントゥ・ザ・ワイルド

 自分で頑張ればなんとか越えられるハードルをひとつ越えた充足感と、自分でどんなになにか手をかけたくてもどうすることもできない無力感の両方を抱えてしまったので、今日は思い切って自主休業で、のんびりすることにしました。

 さりとてそんなときに、思いつくことと言えば、映画館に行くことと、ケーキを食べること、本を読むことくらいしかないのですが。今日は、ぜんぜん違うタイプの作品をふたつ、シネコンで、はしご。しかも少し上映時間が重なってしまうために、ひとつの作品が終わって、ダッシュで次に…という体験をしました。

 はじめに見た映画は「イントゥ・ザ・ワイルド」です。…アメリカで、大学を優秀な成績ででたばかりの青年が、親の期待を反故にして、自分の学資金は寄付し、身分証明書なども全部処分して、旅にでかけます。めざすはアラスカ…なのですが、その途中で、彼はヒッチハイクや急流下りなどでカリフォルニアやメキシコなどを通り、その先々で、ヒッピーや、一人暮らしの革職人の老人、美しい声の少女ほかいろいろな人に出会います。また、なんとも不思議な、乗り捨てられたバスに出会い、その中に住みながら、狩猟をして生きていきます。

 大自然の中で、彼は自分の手と頭だけで生き抜く、太古の人が生きてきたような方法をとろうとするのですが、なぜ彼はそんな道を選ぶのか…。

 両親、特に父親に対する複雑な心情が、彼に自分の人生とは何かを問わせ、行動にむかわせるのですが、旅にでて自分をゼロにしてみて、生き抜きながら人生の意義?を探していこうとするところが、なんとなくわかるようで、またわからなかったのは、私自身が歩いてきたシチュエーションと違うからかもしれません。

 それでもなお、深くいろいろと自分の中で、見つめずにはいられないものと向き合う機会を与えてくれる映画でした。

 私は、この映画の主人公と違って、たぶん父の愛情に恵まれ、その父によって子供のころにいろいろなところに“連れていってもらった”こと。そして、何かに衝かれるように旅にばかりでていた父の後ろ姿を見て育ったこと。ただし、決して私一人では、どこにも行かせてもらえなかったこと…が、今の旅への渇望と恐れにつながっていると思います。

 この映画の主人公のような、サバイバル生活のような自然の中を行く旅はとてもとても私にはできないことですが、その一方で、一人で彷徨したい気持ちは強く、いわゆる型にはまった旅でない旅をしたいと思うことしきりです。

 特に最近、そんな旅への志向が強くて、(でも、悲しいかな、さまざまな義務としがらみといろいろで、思うようにはとてもとても…)ときどきふっと、右も左もわからないような見知らぬ異国の街を歩いてみたい気持ちとそういう状況への恐れ…が体をふるわせます。

 …なにかのツアーで外国に行ったときでも、朝早くなど、ひとりでホテルのまわりなどをうろうろするのですが、そんなときにふっと怖くなることがあります。一応、部屋を出る前に、ざっと地図をみてランドマークになるものを確認して、指で地図上の距離もはかっていくのですが、それでもなお、標識が読めない町(…たとえばドイツやスウェーデンではちんぷんかんぷん…。韓国となるとさらにめまいをおこしそうでした)では、とても心もとなくなります。…それでも、そんなふうに一人になれることが好きです。だから、まして昨年初めて、一人で遠くまででかけたときは、その嬉しさと怖さとを両方味わいました。

 ましてやそれを、大自然の中でのサバイバルの中で感じていくのは…。

 でも、自分の義務を無視できるとしたら、おもいっきり、旅をしてみたいと思います。この映画の主人公に同調できなかったのは、主人公を案じる妹にすら知らせずに…というそういう行為なのかもしれません。天涯孤独にならないかぎり、義務は何かしらつきまとってくるような気がするので、そんな旅がいつかできるようになるかは??なのですが。

 この映画を見ていて思い出したのは、芭蕉のことです。

 “旅に病み 夢は枯れ野をかけめぐる”…

 

 …この映画の最後のほうで、主人公の青年が本のあいだに書き残す言葉は、胸にひびきました。これからご覧になるかたのためにここでは書かないでおきますが。

 この言葉を含めて、終わりの方のボードに書かれていたりする言葉の筆跡があまりにしっかりしているので、ふっとそこで気持ちが白くなってしまったりはしましたが、これが実話をもとにしたお話ということで、この原作を読んでみたくなりました。

 ああ、映画の感想と自分自身の想いが、年輪のように順番に重なってしまいます。そんな気持ちになってしまう映画でした…ということでご理解いただければと思います。

 …たとえば家族であったり、たとえば恋人であったり…。自分の無事を祈り、待つ人がいるということは、旅や人生においての自分の行動の大きなブレーキになります。それでもそのブレーキをかけずに、車体をきしませながれでも疾走していくことができるのが若さなのかもしれません。そうだとしたら、自分自身には若いうちにそんな行動の機会がなかったということを受け入れていくしかないのでしょうか…。

 老後にまた、もし、もう何も気にしなくていいとなったら、私は芭蕉のようになりたいとも思います。

 ああ、今日は支離滅裂です。そんなふうに心かき乱された作品でした。…

 

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