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【映画】シッコ

 日本では職場などでの健康保険組合に加入し、健康保険証を持っていくと、ある程度の負担金で、ある程度の治療が受けられますが、アメリカでは、個人が個別に保険会社と契約し、そういう契約をしている人でないと、法外な治療費を払えなかったり、またたとえ契約している人でもその保険会社がOKをださないと病院での治療が受けられないとのこと。指を2本切り落としてしまったときに、予算?の都合で1本だけつないでもらったり…。と、そんな状況をマイケル・ムーア監督が、インタビューによってひきだす映画”シッコ”をレンタルDVDで鑑賞しました。

 また、そういう過酷な状況のアメリカと違って、カナダ、イギリス、フランスなどは、医療費の窓口での支払いはなし。(もちろんもとをたどれば税金なのですが)…さらには、9・11でボランティアでがれきの中からの救出などに当たった人が、その後、気管支などの障害での医療費で苦しみ、一方、テロにかかわった人たちは、キューバにあるアメリカの基地で、手厚い健康チェックを無料で受けている様子などが描かれていました。

 病気の時…というのは、なによりも弱者であり、とにかく痛みをとってほしい、切れてしまった指をつないでほしい、命を助けてほしい… そんな場面ですので、そのときに保険会社のOKをとらないと何もできないシステムというのは、あまりといえばあまりだ…とも思いました。

 でも、映画の中で医療の楽園のように描かれている国には問題がないのでしょうか…。たとえば、この映画の中では、窓口での医療費ゼロのイギリスの病院での待ち時間は十五分とかそういうものでしたが、イギリスで実際に病院にかかった知人にきくと、とんでもなく長くて、とても大変だったとか。

 また、この映画にはでてきませんが、高福祉で有名なスウェーデン在住の知人は、なにか病気になってもなかなか医者にかかろうとしません。無料なのになぜ?…ときくと、とにかく待ち時間が長くて、しかも、地域のクリニックにまず予約をとってでかけて、さらに症状にあわせてほかの病院にもう一度予約をとって行かされることになるけれど、その症状の重さ次第ではずいぶん先のことになってしまうし、云々…なのだとか。また、収入の約5割が社会保障関係費で天引き…という状況などもきいているだけに、もちろん、この映画で示されているアメリカのシステムはひどいとしか言いようがないですが、“パラダイス”の裏も、もっと示されないと不公平な気がしました。

 ”こんな現状なのです”の問題提起には、意義ある映画なので、ぜひこれからもっと深めて解決に少しでもむすびついていく(国家規模の医療問題を、一国民がどれだけ変えていけるのか謎ですが)方策を提示していくといいなぁと思いましが、そこまでいくと、映画を超えたもの?になり、上映時間もどれだけあれば十分なのか見当もつかない…ものになりそうな気もしました。

 前述のスウェーデンの知人が、仕事で京都滞在中に、”足が痛くて動けない。どうしたらいいだろう?”と九州まで電話をかけてきた朝がありました。幸い、そのかたの仕事上の関係者のつてで大学病院で受診できるように取り計らってもらえそうな状況だったので、その方法などを伝えたところ、多くのかたのあたたかなお計らいで、迅速に大学病院で受診することができました。(といっても待ち時間は長かったようですが)

 そのときに、”すごいね。日本では、保険会社の許可を待たないで治療を始めてくれたよ。海外用旅行者保険の承認がでるのを待たなくてはいけないのかなと思っていたのだけれど。おかげで治療を受けたあとに、ゆっくり保険会社にアクセスして、書類などを送ってもらうことができたよ。日本っていい国だね”と言われました。

 そんなふうに言われたことが、当時の私にはびっくりだったのですが、この映画をみて、そんなふうに言われた背景が少しわかる気がしてきました。

 また、そこで痛がっている人を眼の前にして、“保険会社のYESがないから”と、診療ができないという国での医療サイドの人は、本当はどんなふうにその現状を思っているのかなぁ…とも思いました。

 日本でも、このままでは年金も健康保険も制度として危うくなっていくと思います。そのときに、あの先生は、どうされるのだろう…と、かつてお世話になった先生のやさしく端正なお顔を思い出してしまいました。

 ジェネリック薬品のこと、海外での手術のことなど、この映画からつながって考えていきたいトピックスはいっぱいです。片手落ち…と感じる内容ではありましたが、問題提起のドキュメンタリー映画として、一度、レンタルでごらんになられては?と、おすすめしたいです。 

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受信: 2008年7月14日 (月) 09時59分

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