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【映画】象の背中

 役所広司さん主演の映画、「象の背中」をレンタルDVDで鑑賞。働き盛りのサラリーマンが肺がんとその転移で余命半年と急に医師から言われ、その後の生き方を、“治療はしない。できりかぎり普通に暮らし、いろいろな人に会いに行く。”とします。

 初恋の人、ささいなことで喧嘩したままになっていた旧友、疎遠になっていた兄などに会い、兄には残される家族のためにある願事もして、しっかりした長男と美人でやさしい妻と、のびやかな娘に囲まれ、また、愛する女性とも心を通わせながら、海の見えるホスピスで… というストーリーです。

 死ぬまでにしたい10のこと… ではありませんが、身近な人を何人も癌で見送っているので、もし自分だったら…という、過ごし方は、何度となく考えていました。それだけにこの映画、最初はとても感情移入できたのですが、最後まで見終わると…うらやましすぎ…という感想が本音で、あまりにすべてがあたたかく、それだけにどこかすべてが、ある男性の夢の中の話なのではないかと思わずにいられませんでした。

 すごくうらやましい…。たとえば私が、ものすごくかっこよくて優しい夫と、心おきなく弱さをみせられる、これまたカッコイイ恋人がいて、しっかりして、何も心配する必要もなく育っている息子と、明るい娘に思いやりをもってもらえて支えられ、仕事でも周りの人に理解されて、初恋の人は、かつての思い出のままに素敵で、旧友たちも、”自分は癌なんです”という言葉を、迷惑に思うことなくすっと受け止めてくれて、お金の心配もせず、最後は痛みをコントロールして、海をながめながら時をすごせる…。こんな最後の日々があったら、なんだかそれは自分の人生にはあっていないような気がしてしまいます。

 もちろん、あの人だったら…と、そんなときにも支えてくれるであろう友人、知人の顔が浮かばないわけではありません。でも、最後の日々は、それまでの日々の延長で、心配することもあれば、しんどいこともいっぱいあるはずで。

 なんだかここまでユートピアのようなお話になると、ふっと心が離脱してしまいました。ドラえもんでいうならばできすぎくんかな…。

 それでも、映像はきれいで、役所広司さんの演技はとてもみごとで、家族とは…、愛とは… とも考えさせられる映画でした。”主観”に訴える映画であるだけに、観る人によって、とても評価がわかれる映画だと思います。

 自分が余命あと6か月。実質的にそのうち動けるのは…と考えたら、自分は何をするのか。案外時間がないとこの映画を見ながら感じ、やっぱり今できることはしていっておこうと思ったりしました。つい最近、四十代はじめで、突然の病で、数時間の意識不明ののちに他界したかたの訃報に接したばかりでしたので、半年の時間がある病ということでも、その時間の意味をまた考えさせられました。

 昨日から、パソコンの調子がおかしくて、今朝もあれこれやって疲れて、今日は自主休業。今、平野啓一郎氏著の”決壊”を読んでいるのですが、これは凄い本です。

 昨日からのテクノストレスをとるはずの一日が、とても重厚な日になっています。

 

映画の原作本は未読です。読んでみたい気がしています。特に絵本のほうを…

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