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2008年6月

【映画】象の背中

 役所広司さん主演の映画、「象の背中」をレンタルDVDで鑑賞。働き盛りのサラリーマンが肺がんとその転移で余命半年と急に医師から言われ、その後の生き方を、“治療はしない。できりかぎり普通に暮らし、いろいろな人に会いに行く。”とします。

 初恋の人、ささいなことで喧嘩したままになっていた旧友、疎遠になっていた兄などに会い、兄には残される家族のためにある願事もして、しっかりした長男と美人でやさしい妻と、のびやかな娘に囲まれ、また、愛する女性とも心を通わせながら、海の見えるホスピスで… というストーリーです。

 死ぬまでにしたい10のこと… ではありませんが、身近な人を何人も癌で見送っているので、もし自分だったら…という、過ごし方は、何度となく考えていました。それだけにこの映画、最初はとても感情移入できたのですが、最後まで見終わると…うらやましすぎ…という感想が本音で、あまりにすべてがあたたかく、それだけにどこかすべてが、ある男性の夢の中の話なのではないかと思わずにいられませんでした。

 すごくうらやましい…。たとえば私が、ものすごくかっこよくて優しい夫と、心おきなく弱さをみせられる、これまたカッコイイ恋人がいて、しっかりして、何も心配する必要もなく育っている息子と、明るい娘に思いやりをもってもらえて支えられ、仕事でも周りの人に理解されて、初恋の人は、かつての思い出のままに素敵で、旧友たちも、”自分は癌なんです”という言葉を、迷惑に思うことなくすっと受け止めてくれて、お金の心配もせず、最後は痛みをコントロールして、海をながめながら時をすごせる…。こんな最後の日々があったら、なんだかそれは自分の人生にはあっていないような気がしてしまいます。

 もちろん、あの人だったら…と、そんなときにも支えてくれるであろう友人、知人の顔が浮かばないわけではありません。でも、最後の日々は、それまでの日々の延長で、心配することもあれば、しんどいこともいっぱいあるはずで。

 なんだかここまでユートピアのようなお話になると、ふっと心が離脱してしまいました。ドラえもんでいうならばできすぎくんかな…。

 それでも、映像はきれいで、役所広司さんの演技はとてもみごとで、家族とは…、愛とは… とも考えさせられる映画でした。”主観”に訴える映画であるだけに、観る人によって、とても評価がわかれる映画だと思います。

 自分が余命あと6か月。実質的にそのうち動けるのは…と考えたら、自分は何をするのか。案外時間がないとこの映画を見ながら感じ、やっぱり今できることはしていっておこうと思ったりしました。つい最近、四十代はじめで、突然の病で、数時間の意識不明ののちに他界したかたの訃報に接したばかりでしたので、半年の時間がある病ということでも、その時間の意味をまた考えさせられました。

 昨日から、パソコンの調子がおかしくて、今朝もあれこれやって疲れて、今日は自主休業。今、平野啓一郎氏著の”決壊”を読んでいるのですが、これは凄い本です。

 昨日からのテクノストレスをとるはずの一日が、とても重厚な日になっています。

 

映画の原作本は未読です。読んでみたい気がしています。特に絵本のほうを…

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【大人の社会見学】T4

 大人の社会見学…今回は、”見る”だけでなく”感じる”体験をしました。

 舞台は”T4”です。…ブルーインパルスという航空自衛隊のアクロバットチームが使っている機体で、航空自衛隊の中等練習機に位置づけられているものです。

 …といっても、これで空を飛んだ…わけではなくて、地上を走った(滑走路上で加速して、でも飛び立たないでそのままエプロンに戻る)だけなのですが、それでも、Gスーツという重力から身を守るためのスーツに着替えて、ヘルメットもつけて、ハーネスも装着して、コックピットの中から移りゆく風景、目の前で変化していくパネル(前席に教官パイロットさんが座って操縦され、後席に私が座って…)を見て、さらにインカムから、管制塔との交信も全部聞こえてくる状況というのは、これまでに味わったことがない、”るん♪”な気分でした。

 Asdfmet 搭乗前には、まず服をつなぎに着替えて(つなぎを着るのは生まれてはじめて…)それから、Gスーツを身につけましたが、これがかなりずっしりと重くてびっくりしました。

 Gスーツのたくさんのポケットには、万が一の事態になったときのためのライトとかいろいろなものが入っていました。

 それからヘルメットもかぶりますが、これが酸素供給用のパイプもあるかなり重いものでした。

   028_3

よたよた?と機体のところに行くと、もう整備のかたがいろいろと準備してくださっていて、パイロットさんは、機体のまわりを見回り、それから記録をチェックして、いざ搭乗です。自分では、どの管をどうヘルメットにつけてよいのかもわからず(触ってはいけません…という計器やボタンも多く、基本的には、”手はお膝…”なので、もうひとりの別の教官さんが、そういうことをしてくださいました。最後にシートベルトをしめて(これも民間航空機のものとは違います)…。

 そして、キャノピー(上の透明の屋根)を閉めるといよいよ出発です。

 エンジンをスタートさせるための電力は、ヨコに止められた専用の車から送られてきているのにもびっくりしました。一度エンジンがかかれば、その後は、その力でいろいろなことができるのですが。

 キャノピーを閉じると、中は温室でした。エアコン機能は少しはあるにはあるようですが、やっぱり暑い…。

 インカムで入ってくる前席パイロットのかたのチェック(説明しながらしてくださって、おかげで計器の意味が少しわかりました)などがおわったら、いざ、滑走路へ。

 …滑走路の手前で待機をしている時にパイロットさんが言われたのは、T4にはハンドブレーキなどはなく、止まっている間は、ずっとブレーキペダルを踏んでいないといけないのだとか。ふみゅみゅ…と思いました。

 なにせ飛び上がってもらえないので、今回は、最高時速80キロくらいまでいっきに加速して後は、速度を落としてそのまま走る…だけ…なのですが、いっきに速度80キロまであがり、え?これだけ?…という感じで、加速体験は終わってしまいました。

 でも、機内では、飛びあがらないまでも、ボタン操作で、Gスーツに空気を送り込んで、その感触も確かめさせてもらえましたし、視覚(うつりゆく景色と計器)、聴覚(なんといっても音は“生”)、触覚(手袋もはめます。独特の感覚でした)、嗅覚(燃料の香りが、なかなかよかったです)…それから、体で感じる加速感… いずれもとても貴重な経験でした。

 名残惜しみながらT4を降りたあとは、非常にみはらしがよいお部屋にうつって、基地のかたがたから、T4の格納庫への移動のさせかたとか、編隊を組む時の距離とか苦労とか、教習時のことなどいろいろとうかがって、とても密度の濃い時間をいただきました。

060_2 写真は、その後に給油している風景です。つねに飛行後すぐ後に満タンにされておくのだとか。(腐食防止?)

格納庫までは牽引されてもどりますが、日本のその技術には、アメリカ軍の人もびっくりしていたとか。(狭いところにきちんと入れていく…)

061 とても訊きたがりの私にお付き合いくださいました教官パイロットおふたりのかたをはじめ、ありとあらゆる質問にいやな顔ひとつされず答えてくださったかた。そして、現在の防衛問題などについても率直に話してくださったかたがたには、本当にありがたく思いました。”きちんと語れる。答えられる。”…これって、今の日本ではなかなか稀有なものになってきてしまっているだけに…。

 ああ、それにしても、なによりも、あの加速感。あの昂揚感。…忘れられそうにありません…。

 さらに、また、玄関の前で、車が見えなくなるまで、本当にずっーと敬礼で見送り続けてくださる態度に、なんだか日本のほかのところではなくなってしまっている、“心”を感じました。

 航空自衛隊芦屋基地の皆様に大変お世話になりました。心からお礼申し上げます。

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【映画】ブレイブ ワン

 婚約者と犬の散歩にでかけていたときに、暴漢に襲われ、婚約者は殺され、自分自身も意識不明の重体に陥ったのちに、体は回復したラジオパーソナリティの女性が、銃を手にするようになり、社会の”悪”に銃口を向けていくというストーリの、ジョディ・フォスターさん主演の映画、「ブレイブ ワン」をレンタルDVDで観ました。

  社会の中に悪い人間が罰せられることなくのさばっていく状況を、法をやぶって、壊していこうとする主人公のジョディ・フォスター。

  事件を通じて彼女に出会い、やがて心を彼女に開き始めた刑事は、一連の事件の容疑者として彼女を疑いはじめたときに、自分が警察官になったときに、自分に問うたあることがらを話します。その質問と、それに対して、この刑事が彼女に示した態度は、この映画のひとつの結論でもあるので、ネタばれをしたくないのであえてここで書きません。

 法を無視して銃の力で悪を裁こうとしていった彼女の行動は、私はどう考えても許されるものではないと思います。自分を傷つけた相手だけではなく、自分が目にした悪に銃口を向けていく彼女の行為で、本当に救われる人は誰もいない…と思ったのですが、その一方で、少なくとも黙秘することなどで彼女の罪を告発しなかった人たちの思いは、この社会にある悪に対する多くの人の気持ちとして、よく表現されていたと思いました。

 また、なんといっても、最後にこの刑事が下した結論はよかったです。途中まで見ている間では想像していなかった結末で、すーっと救われた気がしました。

 ときどき、立場上、がんじがらめの決まりの中で、動かずにいる人(動くこともできない、あるいは動く意思がない)の言動に接することがありますが、動くことができないとそこに立ち尽くすのか、動くことができないならば、せめて自分にできる声掛けだけでもしようとするのか、それとも頭から動くことを一切考えないのか…。そんなそれぞれの行動に、本当に人間性がでるものだと痛感すること多々です。

 この映画の刑事のように動ける人は極めて稀なのだと思います。それだけに、日常でのさまざまなことと対比して、この刑事の行動が心に沁みました。

 最初は観ていることが辛すぎ、救いが見つからない映画でしたが、最後にふっと、心が癒された映画でした。

 

音楽もよかったので、サントラが気になっています。

 

 

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