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【観劇】明石原人

 劇団民藝による「明石原人~ある夫婦の物語」を観てまいりました。

<物語> 考古学大好き青年の信夫が、恩師の直良音(なおら・おと)を明石に訪ねてきて、ひょんなことから11歳の年の差を越えて、二人は結婚することになります。(この事情にはちょっとびっくりだったのですが)

 生計は、妻が学校の教師をして支え、夫の信夫は、発掘三昧。そして、明石の海岸でやがて信夫は、旧石器時代の物と思われる人骨を発見するのです。「明石原人」という世紀の大発見かも?…となるのですが、信夫は小学校しか出ていなかったために、日本的な学歴社会の壁の前で理不尽な想いを抱えなければならなくなります。

 生まれたばかりの娘を連れて、音は親子3人で東京に移り住み、音は東京の女学校で教えて生計をささえ、信夫に本格的に考古学の勉強をさせます。それでもなお、さまざまな壁はあり、くじけそうになる信夫を11歳年上の妻、音が懸命に叱咤激励し、著名な大学教授とも話し、支えていこうとします。おりしも世は戦争にむかっていく時代。考古学の研究さえも、神代を否定する罪になるということで、ペンの矛先も世にあわせて曲げていくしかありません。そして肝心の人骨は東京大空襲で灰になってしまうのです。(あとのストーリーは未見のかたのために書かないでおきます)

<つれづれ>

  明石原人の化石を発掘した直良信夫とその妻の夫婦愛を描いた伝記ですが、夫婦の苦労話というだけでなく、大学というのはいかなるものなのか、真の研究とは?、政治がかかわってくるアカデミズムの世界とは?など、いろいろな問いかけがされているおはなしです。「大学」「学歴」に翻弄される、しかも当時の社会事情ではとても珍しかったに違いない(女性が生計を支え、かつ11歳も夫よりも年長)状況下の夫婦…。いったいどんな日々だったのか、そのあたりの空気をもう少し感じてみたくもありました。

  直良信夫氏は実在の人物で、このお話も事実にもとづくものだとのこと。小幡欣治氏による脚本がとてもバランスがよく、すーっと心に入ってくるおはなしになっていました。舞台はシンプルで無駄が無く、演じたみなさんも、それぞれに役にあっていました。観劇の経験はあまりないのですが、自然体であると全編に感じました。疲れることもなく、まとまりがよく、好感が持てました。“女性が強く、そして元気”…それを強く感じる内容でもありました。

 明石原人にかかわることをもっと知ってみたくなり、インターネットで検索してみました。またいつか本も手にしてみたいと思います。

 演劇はナマモノなので、たとえば映画のご紹介のように、DVDで~とも申し上げられませんが、もしお近くで機会がございましたらとおすすめいたします。

 

 

 

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