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【読書】ムハマド・ユヌス自伝

 バングラディッシュで、貧しい人たちのための銀行”グラミン銀行”を創り、貧しい人たちの生活の向上に寄与し、ノーベル平和賞を受賞した経済学者のムハマド・ユヌス氏の自伝を読みました。

 貧しい人々に無担保で、少ない金額を融資し、それを元手にして小さなビジネスを展開させ、経済的に自立させていく…というこの手法は、マイクロ・クレジットと呼ばれ、いまや世界60カ国で行われています。

 この本はユヌス氏の生い立ち、若いころからどういうふうに考えて行動してきたか、またこのマイクロ・クレジットの実践の間の様々な試行錯誤とその結果が、誠実な語り口で書かれている本で、まず全編を通して気持ちよく読めました。バングラディシュのグラミン銀行では、融資先は、主に女性。彼らの夫が、自分に貸してほしいといっても、借りるのは女性。融資と返済の実績を積むことで、住宅ローンも借りることができるようになるのですが、その時は、その家を建てる土地の名義を女性に変える…ということが求められるという融資方法で、とにかく、普通では借りにくい女性…にフォーカスしている融資方法が興味深かったです。たくさんの女性が融資を受けるわけですが、またそれぞれに小さな起業をしているわけで、その静かな力強さにも圧倒される思いでした。(自分がもし融資を受けたらいったい何をしようとするだろうか?と…)

 インドで、このマイクロ・クレジットをしている人たちのグループに会い、またその銀行?の帳場でローンの通帳などを実際に見せてもらったことがあるのですが、そこに行く前にこの本を読んでいたらもっとよく理解できたのにと、順序が逆になったことがちょっと残念でもあり、またあのときのいろいろな人の表情や言葉が、今になっていきいきと結びついてきました。

 この本は、別々の二人のかたから、ほぼ同時に(24時間以内)、”この本を読んでみませんか?”と薦められてびっくりしたのですが、なるほどお二人が薦めてくださるだけのことはある…と思う、考えさせられる、また力強い本でした。お二人に心から感謝しています。

 私の中での最初のガイジンサン交流体験が、小学校のころ、となりに住んでいたバングラディシュからの留学生で、よくうちに来てスキヤキを食べたり、その人のところにいって、みんなでバングラディシュの料理をごちそうしてもらったりしたものでした。最近はまた、バングラディシュで働いた知人を通して、バングラディシュのことを聴く機会が増え、不思議な縁を感じている国です。

 ”バングラディシュのコンサート”というジョン・バエズのLPを、帰国直前にプレゼントしてくれた留学生さんのことも思い出しながら、この本を読み終えました。今の日本、今の私にも学ぶべきところがたくさんある本でした。

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