« 【読書】アイアムレジェンド | トップページ | 【読書】香水~ある人殺しの物語 »

【映画】パフューム

 …香りというものに自分がどれくらい敏感かというとそれを計るすべを知りません。でも、かなりの近眼なので、なんとなくその分、聴覚と嗅覚がそれを補うように発達しているのではないか?…と希望的観測をしています。

 小さい頃から香水は、身近にありましたが、そのボトルの美しさばかりに目が奪われていた気がします。周囲には何人か、御顔とあわせてそのかたがいつもつけておいでの香水やシャワーコロンがぱっとリンクして思い浮かぶかたがおいでで、そんなかたは…特に男性はさわやかな素敵なかたが多いなぁと思っていました。

 それでも自分自身についてはあるときからとても香水が苦手になって、一切なにも手にしなくなったのですが、最近になって、”こんな香りの香水がほしい”というあるイメージを持って、そんな香水を探し求めているので、そんな意味でこの映画のタイトルが気になり、レンタルしました。「パフューム」という映画です。

  物語はかつてのパリを舞台にしてはじまります。さまざまな匂いがふんだんにあったその街で、母から生み捨てられた男がいました。ものすごくその嗅覚が発達したその男は、自分が愛する香りをずっと保存しておきたいと願ったことから、その手法を学び、試そうとします。そしてその修行の旅の過程で彼が気がついたのは、自分はこんなにも香りがわかるのに、自分自身には香りがないということ。…それを知ってさらにその道にのめり込んでいった男は、香りを保存しようと実験を繰り返し、“結果的に”次々とそのサンプル?になった女性を殺してしまうことになります。

 そして、殺人鬼としてとらえられ、群衆の前で死刑を宣告されますが、その後の状況は想像もできないものでした。…不思議な力でぐんぐん惹きつけられていき、最後の10分の展開にとにかく茫然としました。

 そして終わってみると、不思議なほどに、自分の心の中にやはり香りが残らないことに気が付きました。みごとに消えていっているのです。凄い映画だと思いました。ちょっとびっくりされるようなシーンがありますが、未見のかたにはお薦めしたい映画です。衣装も景色も時代の様子も見事に表現されていたと思います。

 この男は、母親に魚屋の台の下で産み捨てられ、そして誰からも愛されることなく生きてきました。抜群の嗅覚をもつのに、自分には“匂い”がないことに気がついた彼は、自分自身のこの世での存在の意味を見いだせなくなってしまったわけです。

 彼にとっては、”愛されること”=”匂いがあること”だったのだと思います。この場合の愛は、たぶん、それがどんなものであっても絶対的に受け入れてくれるそんな愛です。自分は愛することを知り、愛でるものがあるのに、自分は愛されない。匂いもない。この悲しい一方通行との哀しい戦いだったと思いました。こんなにも愛を求めて、その愛を得られないストーリーというものをこれまで見たことがない気がしました。 ネタばれになるので書けないのですが、最後のあの2本は、どうやって…?という点は気になるのですが、そんな不思議によってひきだされた結末には心が痛み、そしてふっと昇華していきました。驚きの感覚でした。

 原作があると知って、今それを手にしはじめています。

 「香水」 ある人殺しの物語  パトリック・ジュースキント著 池内紀訳 文春文庫。こちらについては、また読み終えましてから、書きたいと思います。

|

« 【読書】アイアムレジェンド | トップページ | 【読書】香水~ある人殺しの物語 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【映画】パフューム:

« 【読書】アイアムレジェンド | トップページ | 【読書】香水~ある人殺しの物語 »