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2008年2月

【映画】大停電の夜に

 クリスマスイブの夜に、東京で大停電が起こったら…? そんな夜の人々の心模様をやわらかくせつなく描いた素敵な映画に出会いました。会社の上司と不倫して、心の制御がきかなくなっている女性、余命いくばくかの親から、思いがけない話を聞かされてとまどう男性。昔つきあっていた男性が、刑務所から出てきて、彼から逃げようと走り、産気づいてしまい、彼に付き添われて病院に行くことになる女性。長年連れ添った妻から、思いがけない過去を聴く男性。明日乳がんの手術を受けることになっている女性。ある女性を待ちつづけてBARをしている男性…ほか、いろいろな人の人生が、思いがけないところでクロスしていきます。

 本当に大停電になったら、街はもっとパニック状態で、こんなこと、あんなこと、ありえないよね… と思うような都合のよい状況なのですが、なにせこの映画は冒頭から素敵なメルヘンのお話で入るので、全編、そんな、あたたかなところだけを現実から切り取ることにも、抵抗がなくなってしまいます。

 すごく複雑に思いがけない接近をするので、え、ここでもしあの人とあの人が会ってしまったら…と はらはらします。その状況がどうなるかは、ここでは書かないでおきますが、この作品を作ったかたの性格の良さが感じられる、素敵な素敵なメルヘンでした。まったくの予備知識なく、ふっとレンタル店でこれを手にとったことも不思議な縁かもしれません。

 人と人とのつながりって、本当に不思議です。思いがけないところで、思いがけない糸がたくさんつながるのを、特に最近、感じることばかり。そんなところでしたので、このお話を見ていて、不思議なリンクもさもありなん…と思えました。

 この映画の中で、宇津井健さん演じる男性が、よいことと、悪いことがあった一日だったと振り返るシーンがあります。

 たまたま昨日は、人と人との思いがけないつながりを強く感じ、私もとても心にあたたかいお手紙と、「…」というようなメールを受け取ったところだったので、(宇津井健さんがこの映画の中であったほどのレベルではまったくないにせよ…)な・る・ほ・ど・ね・・・ と、人生の中の機微を感じました。

 心を尽くす、尽くされる…とはどういうことなのか…。しみじみと感じました。

 この映画の後味がとてもよいのは、どの人も、心を尽くしていたから…。知られないようなところでも、一生懸命心を尽くしていたからだと思います。

  一度しかおめにかかったことがないけれど、ホンモノのかただなぁと感じたかたからの思いがけない厚情のお手紙にお返事を書く時間はとても幸せでした。そういう気持ちのよさを大事に抱えていこう☆と思いました。

 心を尽くして向かい合える相手に出会えるかどうか… それは恋とか愛とかに関わらず、人として…。 そんなかたにまた出会えた幸せとともに、この映画を感じることができたよい日でした。どんなかたにも、その時の最善を尽くせたら…ともしみじみと思いました。

 こんな停電の夜にもし遭遇するとしたら…?と、ふっとそんなことを考えました。キャンドルがとてもよい役割を果たしていて、昨年、ひょんなことからキャンドルの灯りに惹かれるようになったことともあわせて、よい作品でした。

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【読書】ムハマド・ユヌス自伝

 バングラディッシュで、貧しい人たちのための銀行”グラミン銀行”を創り、貧しい人たちの生活の向上に寄与し、ノーベル平和賞を受賞した経済学者のムハマド・ユヌス氏の自伝を読みました。

 貧しい人々に無担保で、少ない金額を融資し、それを元手にして小さなビジネスを展開させ、経済的に自立させていく…というこの手法は、マイクロ・クレジットと呼ばれ、いまや世界60カ国で行われています。

 この本はユヌス氏の生い立ち、若いころからどういうふうに考えて行動してきたか、またこのマイクロ・クレジットの実践の間の様々な試行錯誤とその結果が、誠実な語り口で書かれている本で、まず全編を通して気持ちよく読めました。バングラディシュのグラミン銀行では、融資先は、主に女性。彼らの夫が、自分に貸してほしいといっても、借りるのは女性。融資と返済の実績を積むことで、住宅ローンも借りることができるようになるのですが、その時は、その家を建てる土地の名義を女性に変える…ということが求められるという融資方法で、とにかく、普通では借りにくい女性…にフォーカスしている融資方法が興味深かったです。たくさんの女性が融資を受けるわけですが、またそれぞれに小さな起業をしているわけで、その静かな力強さにも圧倒される思いでした。(自分がもし融資を受けたらいったい何をしようとするだろうか?と…)

 インドで、このマイクロ・クレジットをしている人たちのグループに会い、またその銀行?の帳場でローンの通帳などを実際に見せてもらったことがあるのですが、そこに行く前にこの本を読んでいたらもっとよく理解できたのにと、順序が逆になったことがちょっと残念でもあり、またあのときのいろいろな人の表情や言葉が、今になっていきいきと結びついてきました。

 この本は、別々の二人のかたから、ほぼ同時に(24時間以内)、”この本を読んでみませんか?”と薦められてびっくりしたのですが、なるほどお二人が薦めてくださるだけのことはある…と思う、考えさせられる、また力強い本でした。お二人に心から感謝しています。

 私の中での最初のガイジンサン交流体験が、小学校のころ、となりに住んでいたバングラディシュからの留学生で、よくうちに来てスキヤキを食べたり、その人のところにいって、みんなでバングラディシュの料理をごちそうしてもらったりしたものでした。最近はまた、バングラディシュで働いた知人を通して、バングラディシュのことを聴く機会が増え、不思議な縁を感じている国です。

 ”バングラディシュのコンサート”というジョン・バエズのLPを、帰国直前にプレゼントしてくれた留学生さんのことも思い出しながら、この本を読み終えました。今の日本、今の私にも学ぶべきところがたくさんある本でした。

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【読書】香水~ある人殺しの物語

 同名映画の原作。映画にとても力があり、惹きこまれ、その一方で、いくつかの場面の描写の意味がよくわからない(わかりたくなかった?)ために、原作を手にしました。原作もまた力があり、独特のナレーション…と感じる切れ味が、数々の匂い、香が混じるのを抑える効果をかもしだしていると思いました。

 ストーリーは、映画と同様で、生まれながらに嗅覚が異常に発達した男性が、自分の好きな香を保存したいと思う一心で結果的に実験台になった女性たちを死に至らしめてしhまうとともに、自分の心の居場所を求めて魂が彷徨する物語です。

 行間からいろいろな匂い、臭いが漂ってくる本で、そのあたりは、映像から漂う力強さを持つ映画と共通するところがありました。映画に比べるとはるかに細かく書かれている主人公の心の描写を読んでいると、誰が愛を求めているのか、求める愛とはなにか…そのあたりが、非常に複雑でめまいがしそうで、久々によい意味で本に酔った気がしました。

 映画と原作本。どちらを先に手にするべきか・・・はいつも悩むところ、悔いも感じるところなのですが、この作品は、映画を見てから本を読むほうがよいかも…と思いました。

 今日、駅ですれ違いさまに、ふっとよい香りがするかたがおられて、おもわず振り返ってしまいました。あれは何の香りだろう… と、しばしそこに立ち止まりました。

 

 ちなみに、原作を読んでしまって犯人を知っているストーリーで、原作から自分で組み立てていたイメージと主演の人が違う映画というものを見に行こうかどうしようかと悩んでいるのが、”チームバチスタの栄光”です。多分…DVDレンタルまで待つと思いますが、気にならないといえばウソになり…。

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【映画】パフューム

 …香りというものに自分がどれくらい敏感かというとそれを計るすべを知りません。でも、かなりの近眼なので、なんとなくその分、聴覚と嗅覚がそれを補うように発達しているのではないか?…と希望的観測をしています。

 小さい頃から香水は、身近にありましたが、そのボトルの美しさばかりに目が奪われていた気がします。周囲には何人か、御顔とあわせてそのかたがいつもつけておいでの香水やシャワーコロンがぱっとリンクして思い浮かぶかたがおいでで、そんなかたは…特に男性はさわやかな素敵なかたが多いなぁと思っていました。

 それでも自分自身についてはあるときからとても香水が苦手になって、一切なにも手にしなくなったのですが、最近になって、”こんな香りの香水がほしい”というあるイメージを持って、そんな香水を探し求めているので、そんな意味でこの映画のタイトルが気になり、レンタルしました。「パフューム」という映画です。

  物語はかつてのパリを舞台にしてはじまります。さまざまな匂いがふんだんにあったその街で、母から生み捨てられた男がいました。ものすごくその嗅覚が発達したその男は、自分が愛する香りをずっと保存しておきたいと願ったことから、その手法を学び、試そうとします。そしてその修行の旅の過程で彼が気がついたのは、自分はこんなにも香りがわかるのに、自分自身には香りがないということ。…それを知ってさらにその道にのめり込んでいった男は、香りを保存しようと実験を繰り返し、“結果的に”次々とそのサンプル?になった女性を殺してしまうことになります。

 そして、殺人鬼としてとらえられ、群衆の前で死刑を宣告されますが、その後の状況は想像もできないものでした。…不思議な力でぐんぐん惹きつけられていき、最後の10分の展開にとにかく茫然としました。

 そして終わってみると、不思議なほどに、自分の心の中にやはり香りが残らないことに気が付きました。みごとに消えていっているのです。凄い映画だと思いました。ちょっとびっくりされるようなシーンがありますが、未見のかたにはお薦めしたい映画です。衣装も景色も時代の様子も見事に表現されていたと思います。

 この男は、母親に魚屋の台の下で産み捨てられ、そして誰からも愛されることなく生きてきました。抜群の嗅覚をもつのに、自分には“匂い”がないことに気がついた彼は、自分自身のこの世での存在の意味を見いだせなくなってしまったわけです。

 彼にとっては、”愛されること”=”匂いがあること”だったのだと思います。この場合の愛は、たぶん、それがどんなものであっても絶対的に受け入れてくれるそんな愛です。自分は愛することを知り、愛でるものがあるのに、自分は愛されない。匂いもない。この悲しい一方通行との哀しい戦いだったと思いました。こんなにも愛を求めて、その愛を得られないストーリーというものをこれまで見たことがない気がしました。 ネタばれになるので書けないのですが、最後のあの2本は、どうやって…?という点は気になるのですが、そんな不思議によってひきだされた結末には心が痛み、そしてふっと昇華していきました。驚きの感覚でした。

 原作があると知って、今それを手にしはじめています。

 「香水」 ある人殺しの物語  パトリック・ジュースキント著 池内紀訳 文春文庫。こちらについては、また読み終えましてから、書きたいと思います。

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【読書】アイアムレジェンド

 先日鑑賞し映画た「アイアムレジェンド」の原作本(リチャード・マシスン氏著 早川書房)を読みました。映画ではなんとなくすっきり消化しきれなかったラストが、原作ではどう書かれているのか気になったからです。

 日本では1958年に「吸血鬼」として、また1971年に「地球最後の男 人類SOS」そして、1977年に「地球最後の男」として刊行された作品だとか。

 無人(?)の街を一人生き抜いていくシーンなどは映画とクロスする場面がありましたが、途中から、”地球最後の”…の想定が崩れていくところからは、原作の設定のほうがより納得がいく展開でした。生き残りの女性にあう場面でも、なぜあそこに子どもが必要だったのか…などいろいろと映画では思ったので、その点原作のほうがすっきりしていると感じました。なによりも、タイトルの” アイアムレジェンド”…。一人称で果たしてそう言うだろうか??と、映画のほうではそこが一番腑におちない点でもありましたので、その点では特に、この原作のほうが納得することができました。

 先日の篠田監督の講演の中で、ハリウッド映画は”いかに生きるか”を描く…と語られていたことをこの2作(映画と原作)から考えると、簡単には言葉にできない違いがいろいろとある気がしました。

 映画をご覧になられたかた、こちらの本もおすすめいたします。

 …昨日、知人から「地球最後の一人になったらどうする?」と言われました。生きる意味をどこまで見いだせるか…。旧約聖書のアダムが一人の時代には、何を思っていたのだろうかともふと思ったりしました。最初に”ある”ときと、”ある”ものがなくなるときではもちろん大きく違うのですが…。

 

 

 

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篠田正浩氏の講演会

 昨日は、「私が少年だったとき、スポーツと映画に出会った」…という演題での篠田正浩監督の講演を聴く機会に恵まれました。

 昭和6年生まれの少年が、どんなふうに終戦を迎え、その前後にどういう心境だったか。それを中心にして、どういうふうに、特にスポーツとどう関わられたかがとても興味深く、特に箱根駅伝で2区を走られたというお話は、とても印象に残りました。

 「瀬戸内少年野球団」「梟の城」「スパイゾルゲ」…しかこれまで見たことがなくて、また、どちらかというと、ふみゅ…という感想を持ってしまいがちだった(梟の城は、原作がとてもよかったと思ったりして)のですが、ご講演をきいて、もう一度、今見てみると違った視点で見ることができそうな気がして、ほかの作品も含めて、あらためてこれから見てみようと思いました。

 それにしてもなんと素敵なかたか・・・とも驚きました。非常に足早に檀上を歩かれ、1時間少々、ずっとお立ちになられたまま、原稿も一切見られずのご講演で、時間もきっちりでみごとで…。お顔も、とてもすっきりとされて、凛とされていて、どんなふうに76年間を歩いてこられたのかが想像に難くありませんでした。

 一昨日の柴田翔氏といい(こちらもレジュメがみごとでお話もとてもよかったです。こちらは東大の教授としてのご経歴からそのあたりはプロ?のお仕事かと感じ入っておりましたが)、先週講演を拝聴した末吉竹二郎先生といい、この一週間はよい刺激に恵まれました。今日は部屋と頭を整理する日にしなければ…。

 昨日は私の住む街のお誕生会?での、篠田監督のご講演だったのですが、素敵に年を重ねたいものだと思わずにはいられませんでした。

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【映画】アイ・アム・レジェンド

 アスファルトの間から雑草が高く伸びる無人のニューヨーク。そこを走り抜けるのは野生の鹿たちの群れ…。そしてそこに一匹の犬を連れた男が、ひとり、サバイバル生活をしていました。

 なぜそんな事態になったのか? 彼はどんな人間なのか? ほかの人は? …

 その謎は、それから順に解き明かされていきます。人類最後のひとり…かもしれないその男をウィル・スミス氏が演じる”アイ・アム・レジェンド”を見ました。全く予備知識なしで、ちょうどたまたまぽっこりシネコンの近くで時間が2時間ほどあいたので、そこにすっとはまった映画としてこの映画に出会ったわけですが、映画館で映画を見るのは本当に久々のことで、もう飢えて?乾ききっていましたので、そんな意味では少しこの映画とつながるところありやなしや?と思いました。そして、その男の敵になったのは、ある病に冒された人間たちなのですが、それがまるで高速で走るゾンビ。…ライフラインはどうかとかいろいろと気になるのでサバイバル映画はもともと大好きな上に、また実はこっそりかわいく思っているゾンビ系映画だったので、偶然に入ったとはいえ、あまりの自分への適合度?にびっくりしました。

 でも、 前半はとてもよかったのに、後半になるとなぜか急に、すべてが制作側の都合よく展開してしまい、それが残念でした。…え? それはあまりにいーじーでないでしょうか?… というようなところが多々あったのです。

 でも、その反面で、ひとりで長く生きてきた人間が、どういう風になるかという点などはよく描かれていて、また、最後のほうででてくるベーコンのシーンには、本当によくいろいろなことが込められていると思いました。それだけに、後半全体のご都合主義が悔やまれます。もう一度後半だけ作り直せたらいいのに…とさえ思いました。

 …とこんな感想をもっと詳しく今朝書いていたのですが、なぜかアップしたはずのものが表示されなくて、結果的に全部消えてしまって、ああ残念…。同じ映画の感想を2度書くのはかくも難しいことかとこれを書きながら思いました。

 ということで、朝は一生懸命書いたのに、今はかなりはしおっている…=前半は頑張ったのに後半はだれてしまった… この映画をぶつぶついえない気がしながら、この感想をアップします。

 …それにしても、走るゾンビ系は怖い…です。

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【DVD】四谷くんと大塚くん

 四谷くんと大塚くん。…この名前にピンときたらこのドラマ♪

 優秀な小学生の四谷くんと大塚くんが、探偵となって、熱血漢ボンゴレ刑事に協力して殺人事件を解決し、警察内に”潜入”(?)しているヤクザさんの一味を見つけるという、2004年に放送されたドラマをまた見たいとずっと思っていたのですが、先日、思いがけなく(?)このドラマがDVD化されていることをAmazonの検索で発見し、即注文してしまいました。

 …昨日届いて、幸せにひたりながら、また見ております。いや…これはすごいです。ストーリーも今更ながらに見事な中学受験モノ。あの四谷大塚が協力しているだけのことはあります。細部まで改めて見て感心することしきりでした。

 また、さらにびっくりしたのが、このDVDのケースと、DVD自体のデザインがすごく凝っていることです。パッケージを開けると…そこには、思わず眼が点になるようなデザインが、またそこに広がっていました。(開けたかたのお楽しみとしてナイショにしておきます♪)

 おまけ?のカットシーン集の編集もとても丁寧で感心することしきり。このドラマを作った人も、このDVDを作った人も、本当に心から楽しんでいるのだということが感じられました。

 中学受験も、多くの地方で峠越え。全国にがんばった四谷くんと大塚くんがたくさんいるはずです。本当にお疲れさまでした。悲喜こもごも。そのすべてを消化して、きっとひとまわり大きくなっていくことでしょう。

 …もうひとつ…”デイパーテッド”という映画も見ました。これも”潜入”のお話で、香港映画”インファナルアフェア”のハリウッド版です。マッド・デイモンとレオナルド・ディカプリオが警察とマフィアに潜入しあうのですが、両者の雰囲気がよく似ていて混乱し過ぎてしまい、さまざまな点で、オリジナルを超えられなかった気がして残念な映画でした。女医さんの役目と位置づけが意外に大事だったのだと香港、ハリウッド、両方のこの映画を見て、はっとしました。

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