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【映画】善き人のためのソナタ

 2週間連続レンタル…で観終えた映画があり、せめて忘れないうちに短い感想だけでもと思います。「善き人のためのソナタ」…。壁の崩壊前の東ドイツで、芸術家たちの活動を監視していた人間たちと、監視されていた人間たち。その物語です…と書いてしまえば数行で終わってしまうのですが、見終えて、人生の中で起こりうることっていうのは、だらだらと書くことではなく、本当に数行に込めて書かれることに、あふれんばかりの想いがあるのだという気がしました。この映画の感想も、いざ書こうとなると、かえって言葉が心の中でつまってしまいました。かといって、ぴしっと一行で書けもしないのが情けないのですが。

 監視を続けていた側の人間が、監視されている側の人間の生活を垣間見ていくうちに、業務の枠を超えたヒューマンな想いがわきおこり、人の心の中の“善”の部分に逆らうことなく、それに流されていく自分の中に、生の意味を感じていく…。自分の人生にとって、何を取捨選択するのか…。…それが潔い形で、透き通るように見えたところがよかったです。

 ”善き人”になることで(自分でそこまでそう思っていたかどうかは別にして)地位と権力とやりがいがあったかもしれない職場を失うことになり、単調な作業の中で長き時間を過ごすことになっても、きっとこの人は心に満足を得られただろう…と思えた内容がよかったですし、それにふさわしい報いの用意のされかたが、とても粋でさえありました。

 時代と社会の背景の中で、“悪い”わけではないのかもしれない…と、”弱さ”に転じて考えられることができるというのは、もしかして、不幸なあの時代の物語の中で幸いなことであったかもしれません。究極に悪い人…って、結局いなかった気がするのです。あの権力を乱用する高官ですら、不幸なふられ虫くんとしか思えないひとりぼっちのシーンがあったことで、ふっと・・・フィルターをひとつ持つことができましたし。

 彼もまた、もしかしたら本当に彼女を愛したかった人なのかもしれません…。

 この映画を見たからと言って善き人にはなれないかもしれないけれど、せめて、ほんの一行分だけでも優しい人になりたい…と思ってしまいました。

 映画をみておられないかたには、ちんぷんかんぷんのお話ですみません。今、ちょっとあらすじなどを書いたり、出演者名や役名を調べなおすゆとりがない日々で…。でもそんなときこそ、2週間にわたるレンタルで、こんな映画をなんとか見ることができた午後があったことを嬉しく思ったりもして。 

 …それにしても、この作品中の作家殿。うらやましい気がしました。…映画「ビフォア・サンセット」を、ふっと思いだしたりもしました。

 作家が一冊の本に込める想いは、本当にいろいろ…なのですね…。

 

 

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