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【映画】サッド・ヴァケーション

 かくも女は怖く、かくも男はやわらかなのか…。この映画を見終わって一番に思ったことはこの点でした。怖くなりました。本当に。この映画に出てくる女性(たち)に…。

 物語の舞台は北九州市。若戸大橋という東京オリンピックが行われた年に開通した赤い橋の近くに、小さな運送会社がありました。社長の間宮(中村嘉津雄…”ツ”の漢字は草冠つき)のところに集まる従業員たちは、借金取りに追われる男(オダギリ・ジョー)や、医師免許を剝脱された男、バスジャック事件の被害者(宮崎あおい)その他、いわくある人間ばかり。

 車の代行運転を縁にこの運送会社に訪れた健次(浅野忠信)は、そこで、かつて自分とアルコール中毒の父を捨てて家をでていった母親を見て驚きます。母、千代子(石田えり)はその間宮の妻になっていたのです。密航の手引きをし、その時にひきとった中国人の男の子アチェと、うさぎとともに、健次もその運送会社にやってくることになるのですが、健次の思いは母への復讐。母と間宮の間にできた健次の弟もからみ、物語は意外な方向に進みます。

 …青山真治監督によるオール北九州ロケということで、見に行こうと思っていたのですが、ちょうど、今日、ある予定が延びて、ちょっと落ち込んで、それではあいた時間に…とまさに気分は”サッド・ヴァケーション”ででかけたのですが、私のごとき”サッド”などは、笑い飛ばされてしまいそうなサッド…だと思いました。

 健治の母は、すごいです。もし本当にこんなふうな母性(?????)を持っている女性がいるとしたら、正直なところ怖くてしかたありません。また、18歳というのに、とても落ち着いていてしっかりしているあおいという少女にも圧倒されました。さらに、この健次の恋人冴子(板谷由夏)が、終盤で見せる一連の行動にも…。

 自分はこの3人のどの行動もできない…と思っただけに、またそれが同性であるがゆえに、なんとも言えない怖さを背中に感じました。(と、同時に、最近、よく周囲に指摘される自分の足りないところが何であるのかが、この映画を見て少しわかった気持ちになりました。)

 女性たちに比べて、健次をはじめ、社長の間宮氏といい、元医者さんといい、あおい捜索隊?の人といい…なんと男性は、やわらかでナイーブでやさしいのか…。まるで、この映画にでてくるウサギのようだと思いました。

 ちらしには、”あの女を不幸にするためなら、俺はどんなことでもやってやる”…とあるのですが、この言葉が本心なのかどうかはとても疑問でした。また、もうひとつのチラシにあった言葉”すべてを包み込み美しく生きるゆるぎない女たちの物語”…。ほかの文言はともかく、その中のひとつの言葉には、うーんと思ってしまいました。それだけ、あの凄みが私には本当に怖かったということです。

 変なホラー映画などよりもずっと怖かったです。少なくとも私には。

 ちなみに、北九州ロケということで、「プルコギ」の時と同様に、”あ、あそこ♪”と思いながらいろいろと楽しめました。でも、冒頭のほうで、健次が水浴び?をする森がどこなのか、わかりませんでした。あそこがどこかお分かりのかたがおられたら、教えていただきたいと思います。とても素敵だったのでいってみたくて。同じ北九州ロケ映画では”プルコギ”のほうが、施設の意外な使い方がよかった気が、ロケについてはします。

 …なんだか怖いとばかり書いてきてしまいましたが、人の心のいろいろな面がすごく掘り下げられた映画だと思いました。原作は未読です。怖いながらも興味がわきます。そのうち読んでみたくなりました。

 

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