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【読書】劇場(華麗なる恋の…)

 映画「華麗なる恋の舞台で」が、とてもよかったので、その原作を手にしてみたくなりました。サマセット・モーム著の「劇場」がその原作です。

 名女優ジュリアは46歳。イギリス一の美男・そして、劇場経営者の夫や、長年のプラトニック・ラブを貫く貴族などに囲まれていましたが、彼女のファンだという23歳のトムに夢中になってしまいます。息子ロジャーと年のそう変わらぬトムとのことで、我を失ってしまうこともあったのですが、トムはそんな彼女の心にふさわしい相手ではなく、彼の心が新人女優に傾いていった時に、彼女は・・・。

 映画は、かなり忠実にこのストーリーをなぞっていましたし、ジュリアはこの本の中でも実に生き生きとしていて、映画の中のジュリア役の”アネット・ベニングさん”が、ずーっと一緒に本を読んでいる間中、脳裏で演技を続けているように感じる、映画と原作の関係でした。これを、本から読んで、そして映画を見たらどう思っただろうかと途中で思ったのですが、あまりにもあざやかにアネット・ベニングさんが浮かぶので、その逆を考えきれなくなりました。

 他の俳優さんたちも、まさに原作のイメージにぴったりだったのだなぁと思いました。とりわけ、この本の前半は、映画では触れられていない、若き日のジュリアと、その夫となる男性マイケルのお話で、天性のものをもった女性が、いかに学びながらより大きくなるか、また、その一方で美貌には恵まれるけれど、俳優としての凡庸さを自覚するしかなかった男性がどう歩むのか。

 女優と劇場経営者という二人の関係が、細かな心理描写の中で鮮やかに浮かび上がってきました。とりわけ、ジュリアがどのように彼に熱をあげ、どのようなところから熱がさめていくか…。そのあたりがとても興味深かったです。同様に、ジュリアとトムの関係でのジュリアの気持ちの流れも。

 映画でのラスト15分の描写は(ここが映画の一番すごいところなので、内容のネタばれはしないようにしておきます)、映画のほうが圧倒的に、その表現手法の長所をいかしていたと思います。

 一番ラストのシーンは、特に私が好きなシーンです。映画を観終わったときも、この本を読み終わったときも、このシーンにきちんとそれまでの流れがいきつくところが、爽快に終えられるポイントだったのかもしれないと思いました。

 もちろん、映画とは少し違っていたり、ぼかしていたり…いろいろです。この映画のファンのかたならば、この本を読まれても、ひと粒で二度楽しめるのではないでしょうか。

 再び書きますが、”あっぱれ”なストーリーでした。

 ちなみに、アネット・ベニングさん主演の、アメリカン・プレジデントはご覧になられたでしょうか…。

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