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【読書】聖灰の暗号(上下)

 ぱっとタイトルを見たときには、なんだか「ダヴィンチ・コード」の二番煎じのようで (あちらは、”聖杯”の暗号…。ダヴィンチコードは、おもしろくていっきに読みましたが二番煎じでは…と。)一瞬ひいてしまったのですが、帚木蓬生氏の本ならば…と、新聞広告で見かけて、すぐに注文を入れました。でも、その新聞自体を数日遅れでみたせいか、Amazonでは、もう在庫切れ。市中の書店で上下一部ずつ残っていた本を目にしたときには、さながら超お買い得品籠の中のものをゲットするように、すっと手にして、そのままレジに向かいました。

 それでも、それからなかなか手にする時間がなく(ゆったりくつろいで自分の時間として読みたかったせいもあります)、お盆になってようやく読み始めたときに、あるかたから、「この本がすごくよいから・・・」とお薦めメールをいただき、いっきに背中を押していただいたように読みました。

 ああ、満足…。久々にこんな時間と、こんな本に出会えました。

 お話は… 日本人の歴史学者が、調査研究に出かけた先のフランスのある図書館で、フランスのカタリ派(キリスト教の異端とされた一派)への迫害に関する古文書をみつけるのですが、その続きはどこかに保存されているようで、彼はそれを求めていきます。ただ、彼が学会でその発見を発表したために、”ある手”のものから、刺客?が送りこまれ、彼の周囲で、次々に殺人事件が起こります。素朴な現地の人や、美しい精神科の女医らの助けもあって、彼は一歩一歩その真実にせまっていきます… というものです。

 カタリ派というのは、どこかで名前をきいた記憶がある程度で、読後、手元にある本やインターネットで調べても、いろいろな記述がされていて、この本に書かれているのは、もしかしたらある一面かもしれません。でも、この件についての宗教的真実がどうであれ(これを論じたり、検証する力は私にはありません。)、作者の「信仰とはなにか?」という問いかけが、真摯に伝わってくる、極めて上質のフィクションだと思いました。

 文中の詩や手記が、本を読み終えるまでは、さながら、本当にそこにある古文書に思えましたし、読み終わると、よけいにそれを信じたくなりましたから・・・。

 本を読み終わって、知人に電話してこの本の話をしました。すると、その知人からは、南アメリカ大陸ではどんなことが行われてきたか、そんなことも調べてみては?とアドバイスを受けました。広く宗教についてのお話を1時間半もして、パワーが必要でしたが、私にとってはよい時間でした。

 東大仏文科卒業ののち、九大医学部卒業。そして精神科医になられた作者ならではの知識と感性と膨大な蓄積あっての作品だと思いました。主人公も、その主人公のまわりの人々もいつもながらに気持ちのよいキャラで、作者のお人柄もにじみでるようでした。

 それにしても、「受命」といい、この本といい…。

 とにかくまた次の作品を読むことができるまで、いろいろな想いを抱えてしまいそうです。

 

 

 

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