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【映画】タンゴ・レッスン

 あるかたに熱烈に薦められ、パンフレットとともにDVDをお借りしました。

 仕事に疲れ果てた女性映画監督サリー・ポッター(サリー・ポッター)が、ひょんなことからタンゴに魅せられるようになり、そのうち自分でも踊りたくなり、アルゼンチン出身のダンサーのパブロ・ペロン(パブロ・ペロン)のレッスンを受けます。そしてますますタンゴの魅力に取りつかれたサリーは、その上、パブロにも惹かれていきます。でも、パブロは仕事と私生活の間に距離を持とうとしますし、サリーは彼の昔のパートナーへの嫉妬に苦しんだりもします。

 また、パブロのステージに共にたったサリーは、パブロの厳しい言葉に傷つきます。そして、サリーは次は自分の世界である映画の世界にパブロをいざない、彼女の映画に彼を出演させるのです。…

 …というストーリーが、なぜか哀しく切なく心に響くタンゴのメロディと、表現力にあふれたダンスとともに描かれていきます。

 この映画の監督・脚本・主演はサリー・ポッター。主演・振り付けはパブロ・ペロン。最初はまったくわからなかったのですが、途中までのところでパンフレットを眺めて、この二人がまさにそのままの名前で出ていることに非常に驚きました。私小説ならぬ私映画だったのかと…。

 私小説の類、とりわけ、あからさまに深い真情が吐露されたものというのは、苦手で、いつも、読んでいる最中にそれを知ったり感じたりしてしまったら、そこで本を閉じてしまうほうであるだけに、それを知ってから先は、映画の見方ががらっと変わってしまいました。なんとなく、見てはいけないもの、見るべきでない心の中を見てしまったような、落ち着かない気分にさせられました。もちろん当の本人たちが製作・主演なので、どこを表にだすかは選択されているのでしょうけれど…。

 まったくのフィクションで、たとえばある男性監督がこれを撮ったとしたら、もっと違う目で見ることができたのに…と思った一方で、いやこの二人だからこそ、ここまでのものが出せたのだという気もして複雑な心境になりました。

 この曲の主題歌はよく聴いていましたが、それ以外にタンゴの曲を聴くことはほとんどなく、それゆえにこの映画は新鮮でした。タンゴというと、もっと情熱的に深く心も体もからみあうような踊りを想像していたのですが、この映画の中でのタンゴには、微妙な距離がキープされていると感じました。

 その距離感が、まさにこの二人の、それぞれがかかえる苦悩そのものだとも思いました。ただ、その距離感で見せて欲しくはなかった…というのが正直なところです。昇華しきれない二人の感情は、しばし尾をひきました。

 タンゴについてよくわからないのですが、きっとこれは。サリー・ポッターという一人の女性の心に触れた”タンゴ”だからこういう世界になっていったのでしょう。ダンス映画といえば、”フラッシュ・ダンス”や”サタディ・ナイト・フィーバー””リトル・ダンサー”などが思い浮かびますがいずれともまったく違う雰囲気でしたし…。(ましてや、名前は似ていてもハリー・ポッターとは大きく違いますし)

 このところ、ゾンビモノやロッキーもの、そして”300”と、シンプルかつストレートな味わいのものばかり見ていた気がしたので、久々に別の世界にひきよせられました。おすすめくださったかたに感謝したいと思います。

 このサリー・ポッターという監督さんはきっと才能あふれる監督さんなのでしょう。私は映画の中の映画(RAGE 憤怒)が見てみたくなりました。

 ちなみに、この映画を見て、パブロはいったいどれだけ、どんなふうにサリーを想っていたのだろうというところをはじめ、いろいろと想いおよばぬ点がありました。抱えてしまった最大の疑問は、”この監督は、誰にこの映画をみせたかったのだろうか”…でした。ネットで映画評を探してみたのですが、あまりみあたりませんでした。ご覧になられたかた、この点についていかが思われたでしょう…。

 でも、私映画という面からの悩みを抱えなければ、なんとも素敵な大人の映画でありました。

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