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【映画】ロッキー・ザ・ファイナル

 実は”ロッキー”シリーズの映画を見たのはこれが初めてでした。テレビで放映されたときに、10分やそこらはたまたま目にしていたことがあったのですが、通してみたことは一編たりともなく。それでも、あのテーマ曲とボクシング姿のポスターと耳に入る話だけでイメージができていました。

 また、ずいぶん昔のオフ・コースのビデオで”Movie the Best year of my life"というものの”緑の日々”という曲のプロモーションムービーが、まさにこのロッキーのイメージで作られていて(これについては別記します)、それでイメージができていたのかもしれません。

 とにもかくにも、ロッキー・ザ・ファイナルが、私にとっての、ロッキー・ザ・ファーストだったのです。最近公開のスパイダーマンにしても、いろいろと、”シリーズもの”の映画がありますが、本来は、その映画だけを見た人も理解し味わうことできる…つまりそれぞれの映画が独立しても歩いていける…ことが映画の条件だと思いますので、そんな意味では、このロッキー・ザ・ファイナルにとって、私のような過去作未見の観客というのも貴重?かもと思いました。(ティーンエイジャーといった映画をみはじめたというばかりの年齢ではなく、それなりですし…)

 今回のロッキー。何も知らないで見ても、これが過去のお話をなぞっていっていると思う場面はわかりました。奥さんとのこと、義兄さんとのこと、過去の栄光と挫折、生卵、美術館前のシーン…。そして、パートナーとなる犬。

 きっとここに過去につながる何かあるのだろう…と察することは容易にでき、また、”間違っているかもしれないけれど”自分なりに過去のストーリーを組み立てていくこともできました。ただ、何分、観てきたわけではないのに、すべてがセピア色で、どこかぼやっとしたイメージでしたが。

 そして、その上で、今回のストーリーがあるわけです。シンプルといえば非常にシンプルなストーリーながら、そのシンプルさに、飾らないロッキーのそのままの生きざまがでているようで非常に好感を持ちました。かつてのチャンピオン。いまは、亡き妻の名前のレストランで、客相手に昔話を語る。

 …かつて助けたことがある少女が成長して目の前に偶然あらわれて、彼女を気にかけるにも実直な距離感があり、また、偉大な父を持つことに苦悩する息子に対しても、そのままに父親としての真情で向き合っていき、過去の対戦相手に対しても敬意を忘れず、とにかく善い人…であるロッキーの生きざまは、静かに心に沁み入り、それだからでしょう。彼が語る言葉は、期せずしてストレートのカウンターフック?のように心に効きました。

 ”挑戦しようとする人間を止める権利が誰にあるんだ”

 ”自分の弱さを人のせいにするな。”

 …びっくりしたのは、主演のシルベスタ・スタローン氏の肉体が非常にみごとに作られていることでした。年齢にはちょっと不自然なほどの筋肉は、トレーニングを重ねることによって作られたのでしょう。(ネットで読むところによりますと、危険をおかして、増強剤のようなものも使用しているかもとのことですが)

 最近、戦争映画で飢餓や不十分な栄養状態が十分に想定される時代のシーンであっても、登場人物さんたちがまるまるとされているのをみて興ざめすることが続いていたので、その逆を行くこの映画は、トム・ハンクス氏の”キャスト・アウェイ”を見たときと同じようにその体からはじまる役作りに感動しました。

 小手先のことではなく、真実の感動は、真摯な努力の先にあるのだということを映画全体から表現しようとしているからこそ、この映画が忘れ難い爽やかさを持っておわったのだと思いました。まばゆいばかりのリングの上でのことが、しっかりと地に足がついたものであったことは、まさにここに、ロッキーの人生そのものが真摯なものであったと伝わったからでしょう。

 この映画の原題は、"ROCKY BALBOA"

  なにせ事前の予備知識がなかったので、最初は何かわからなかったのですが、"BALBOA"とは、ロッキーの姓。いわば、これは”山田太郎”というような、そのものずばりの人の名前がタイトルになっているわけで、そこに、この映画が、等身大でひとりの人間の生きざまをあらわそうとしているということがあらわれていました。

 最初に聞くものにはちんぷんかんぷんな”山田太郎”であっても、この映画は、原題のままがよかったかもしれないと思いました。

 …要領の悪い自分。自分以上にはなれない自分。周囲で、立ち回りの上手な人が得をしている光景をみると、思わずうらやましいと思ってしまう自分。でも、じゃぁそれができるかといえばできない自分。自分に自信がなくなりそうになるときに、逃げてしまいたくなる自分。そんな自分にロッキーの言葉は本当に効きました。(映画未見のかたには、その場で味わっていただきたいので、あえてここには書きませんが、ロッキーが息子に語る場面でのセリフです)

 ボクシングのような痛い映画は苦手だから・・・とこれまで逃げていたのですが、ここでこれを見ることができて本当によかったです。気持ちよく、ストレートが入ってノックアウトされました。

 でかけた映画館では、上映はあと1週間で終わり…でした。もし未見のかたで、映画館に行かれる時間があるかたにはおすすめしたいと思います。

 長くなりましたので、オフコースのビデオのことは、項をあらためまして、また書きます。

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