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【読書】絆

 先日読んだ、「父からの手紙」がよかったので、同じ著者の作品を読んでみたくなりました。小杉健治氏著のリーガル・サスペンス。

 夫殺しの罪で起訴された美貌の妻は、事実関係を全面的に認めていたのですが、弁護人は、彼女の無実を主張。被告は有罪を認め、弁護人は無罪を主張する…という異常な法廷では、証言と証拠から、真実が明らかになっていきます。被告人は、なぜ、有罪を認めているのか?そこに隠されたものは何か?

 美貌の被告の若き日を知る法廷記者も、過去と現在それぞれに揺れる心を持ち、法廷でのことを自分にフィードバックさせていきます。

 第41回日本推理作家協会賞長編賞受賞…とのこと。安定した筆致で、すーっと読め、あっというまに読了しました。過剰なな表現はなく、余計な描写はそぎ落とし、また理路整然と進んでいく納得の本で、私は好感を持ちました。

 登場人物像が、「父からの手紙」に共通している点が多く、市井の善人にあたたかな視線がむけられていると感じました。

 内包するテーマは重いのですが、それをも重くなり過ぎずに、あたたかな視線をつねにむけて、おもいやりのある言葉で書かれているため、読む者もやわらかで優しい気持になってそのテーマにむきあっていけます。

 まだ、この著者の本を2作しか読んでいませんが、著者の“お人柄”を感じました。(勝手な想像ながら)

 初版は綾辻行人氏の「十角館の殺人」と同年に刊行された本だとか。ひねりを感じる綾辻氏の本とは、トーンは対照的ですが、理を持ってあらわしていくところに共通点があるのかもしれません。

 すーっと読めて、気持ちよくなることができた、納得の法廷小説でした。

 「絆」 小杉健治氏著  双葉文庫

 

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