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【読書】ハンニバルライジング

 「レッド・ドラゴン」「羊たちの沈黙」「ハンニバル」といったレクター博士シリーズの新作。といってもレクター博士の年齢的にはこれらよりもずっと昔の、少年時代から青年時代を描いた作品。

 高貴な家に生れついたが、ナチスドイツから逃れるために狩猟小屋で生活した日々、その後に家族を襲う不幸。その後叔父にひきとられてのフランスでの日々。叔父の妻である日本人女性への思慕。パリでの医学校優等生としての顔。そして復讐…。

 映画はGWに公開ということで未見ですが、これまでの原作に比べて、この原作自体がとてもビジュアルで映画的な書かれ方に思いました。これまでの原作は、緻密に事件を追っていましたが、今回は、とてもイメージ重視。改行と、字体に変化をつけた部分の多用が、ページから、ビジュアルな印象を醸し出しているかもしれません。

 全体的に今回は、”霧がかかった深い森の中”という印象を受けました。そこを手探りで歩いていくかのようで、これまでの原作とは違う雰囲気にちょっととまどいました。これまでの作品では、FBIの女性捜査官クラリスが軸になり、あるはっきりしたカラーをだしていましたが、今回はクラリスは登場せず、かわって叔父の妻である日本人の女性の雰囲気がとても全体に与える影響が大きく、非常に日本画的な独特の雰囲気でした。綾辻行人氏の作品のような気さえしました。

 ミステリーとしてのおもしろさは、正直言って、これまでの作品のほうがあったと思うのですが、若き日のハンニバルの中に見る不安定さと視点の斜度が興味深く、どこか痛々しい本でもありました。

 当然ながら原作と映画は別物です。「ハンニバル」では特にそれを感じたのですが、さて、今回はどうなるのでしょう。霧の森をさまようような2時間になるかも…。

 ハンニバルライジング(上・下) トマス・ハリス 高見浩訳 (新潮文庫)

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ハンニバル・レクター(Hannibal Lecter)が帰ってきます。 作家トマス・ハリスの作品に登場し、『羊たちの沈黙』で一躍世界のアンチカリスマとなった架空の人物。 ハンニバル・レクターを演じた名優アンソニーホプキンスの代表的な役となりました。 [続きを読む]

受信: 2007年4月15日 (日) 19時05分

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