【読書】神々の山嶺
「人はなぜ、山に登るのか?」
…とても訊き尽されたような問いであり、また、「そこに山があるから」…というイギリスの登山家マロリー氏の答えがあまりにも有名な問いでありますが、夢枕漠氏の、「神々の山嶺」に出会って、その問いがまた、「人はいかに生きるか?」の不偏的なものにおきかわることを感じました。
…山が何よりも好きでありながら、生い立ちにも経済的にもめぐまれず、熱意と力量はあれど、名だたる山の功をあげていくことができない男、羽生。
山に登るためならば、場合によってはザイルで結ばれたパートナーさえも…と言ってのける男は、またそのキャラゆえ、孤高の人でもありました。 いろいろな過去を抱えて、彼は、単独であるルートと方法で世界の最高峰に登頂しようとします。彼の軌跡を追うカメラマン深町はまた、”誰がエベレストに初めて登頂したか?”の謎の解明につながる可能性のあるカメラに偶然であったことから、点と点が結びついていくように彼と交錯し、彼の孤独な登頂計画に関わっていきます。
そんな二人を軸に、彼らの周囲の人間模様も描き、人がなぜ山に登るのか…、ひいては、いかに生きるのかを、追っていくお話でした。
映画「劒岳」をきっかけに、あるかたからこの本のことを教えていただき、読みました。とても読みやすい文体であるだけに、心にすっとしみこみ、いつのまにか自分が、羽生さんにも深町さんにも同化していっていく感覚になり、特に終盤の独白のところでは、のめりこんでしまいました。
先日、あるかたと、この社会で生きていく人間のタイプを大きくふたつのタイプにわけ、自分はそのどちらであるのか、また、この社会で生きていくにはどちらのタイプがよりよい?ものなのか、また自分が友にしたいのはどちらのタイプか…
…というようなお話になったところでしたので、その一方の典型であるかのような羽生さん、深町さんのある意味では不器用なまでに真っ直ぐな生き方が、まさにそのままにまっすぐ心に響いてきました。自分は、こういう二人の生き方が好きなので、この本に余計惹かれたのかもしれません。あまり詳しく書くと自分の心をカミングアウトしすぎてしまいそうですので、感想は書きにくくて、ごにょごにょで。自分が惹かれるタイプの人間と、自分が近いような気がする人間がいて、そんなこんなで自分の心に近い本だったということと、書名と、よかったです…という程度にとどめます。
山登りがお好きなかたはもちろん、以前、テレビのドキュメンタリー番組などでご覧になられて、エベレスト初登頂の謎のことなどに興味があるかた、さらには、いかに生きるかで、周囲との関係などに思うところありのかたにもお勧めしたい一冊です。教えてくださったかたに心から感謝します。
IMAX映画の”エベレスト”(AMAZONで今探してみたのですが見つからなくて残念…)が大好きというお話を以前にここで書いたと思いますが、なぜか昔から、エベレストは私にとって、とても気になるところです。きっとこれからもエベレストのことは、はるかかなたの地上から追っていくと思います。













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